不動産の媒介契約

 ある人Aが、自分の所有している土地を売りたいと考えたとします。まずAは、友人や知人で買ってくれそうな人を思い浮かべ、そのことを幾人かの人に話すでしょう。この話がトントン拍子で進んで知人Bとの間で売買契約が成立することもあるでしょう(この場合でも、Aが不動産の売却を業としている場合は、後述の媒介ないし代理は必要ありません)。
 しかし、知人Bはたとえその土地を買いたいと思っても躊躇するのがふつうです。土地は他の物と比較して値段が高いことから、Aの言い値が妥当であろうかとか、本当にAがその土地を所有しているのかとか、その土地を買ったとき計画どおりの建物を建築することができるだろうかなど心配のタネがつきないからです。遂に、売主Aとしても、知人Bとはいままでふつうのつきあいをしてきたが、改めて考えてみると、この土地を買うだけの力があるだろうかなどと不安になります。
 このことは、中古乗用車の取引と比較するとはっきりするでしょう。中古乗用車の場合は、値段もそう高くありません。また、値段自体も中古市場が形成されていて、かなり基準がはっきりしています。業者の買取りにも一定のルールがあります。そして個々人間での買取りでもそれほどやっかいな法律問題が含まれているとも思えません。

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 これに対して、宅地・建物は、中古乗用車と違って一つ一つ強い個性があり、非常に判断がむずかしいのです。法律問題にしても、宅地・建物の取引は複雑で、とても素人が近づけるものではありません。
 そこで、専門家であるCを「仲に立てて」取引をすればA・B共に安心です。Cは、Aの心配な点とBの心配な点をチェックし、これに対してA・BがCに対して報酬を払うことにすれば、それぞれに都合がよいことになります。この場合のCの役割は、取引の仲に立つという単純な媒介から後述の専任媒介・専属専任媒介までありますが、この順序で弁護士と依頼者との関係に近づいていくことになります。
 AやBがCに対して与える権限はさまざまです。AがCに単に適当な人を見つけてくれというだけの場合もあれば、適当な人がいれば売買契約の締結までを依頼したいという場合もあるでしょう。また、Cの義務である調査にしても、土地の性能、権利関係だけを確認すればよいのか、それともA・Bの信用力まで調査しなければならないのかは、契約の内容によってさまざまでしょう。
 ここでは、AがBに直接売買(交換)あるいは貸借する類型は省き、Cが媒介ないし代理の役割を果たす複雑な類型を基本にして、その法律問題を検討することにしましょう。

土地
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