境界争いとは

 「隣り同士は仲が悪い」という現象は、どこでも見かけます。その理由を調べると、直接間接「境界」に起因するものが多いようです。土地の「所有」が「個人」に分割され、そのうえ「利用」できる面積が狭いということになると、どうしても侵賂がはじまります。地価が高騰している時代には、「寸土」をめぐって生命のやりとりにまでいってしまうこともあります。
 中世のヨーロッパに見られるように、羊の共同放牧場や、日本の鏡村に続いてきた「入会山」(いりあいやま)など、土地が「共同利用」されるような社命では、個人同士の境界争いは少なくなるでしょう。テレビで見かけるアメリカの住宅が、仕切りのない広々とした公園のような芝生のなかに散在しているのに、日本の都市の住宅がブロックベいで刑務所のように囲まれているのはどうしたことでしょうか。地価の高騰が、ミニ開発を促進し、ひいては隣人同士の信頼と協調まで破壊しはじめているように思われてなりません。これでは、「境界」はまさに国境化し、一触即発の緊張状態におかれていることになります。隣人の増改築にたえず目を光らせていなければならない理由がわかります。

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 「境界争い」といっても、法律的にみると、地番範囲の争いと支配範囲の争いとの二つに分かれます。前者は、自分の所有地は「二丁目三番地」とわかっている者が、「二丁目三番地」とはこの線までと主張している場合です。この場合には、「二丁目三番地」とはどこまでかという線引きが主な目的での争いです。実際には、隣接ナる「二丁目二番地」の人や「二丁目四番地」の人との争いですが、だからといって、この線引きは、隣人同士つまり私人の間で勝手にとりきめてしまうことはできません。というのは、この線引きが行政の利害にもかかわりやすいからなのです。たとえば、やや極端な例ですが、東京都と埼玉県の都県境に住んでいる人が、隣人同士で勝手に線引きを変えてしまうと、それによって東京都の土地や埼玉県の土地が広くなったり狭くなったりして、都や県の公権力の範囲が変わってしまいます。
 反対に、後者の掛合つまり「支配範囲の争い」では、自分の所有地はここまでという主張ですから、かならずしも「二丁目三番地」という意識は念順にないでしょう。その所有地が「二丁目二番地」であろうと、「二丁目四番地」であみうと、それにはこだわっていない、したがって、その主張がいれられると、「二丁目二番地」や「二丁目四番地」の登記名義が害きかえられることになります。「地番範囲の争い」ではないから、公図の書きかえはないわけです。隣人同士・私人間で自由に合意できます。公権力はいっさい関係ありません。法律家は、これを「所有権の争い」ともいいます。
 しかし、実際には、「地番範囲の争い」なのか「支配範囲の争い」(所有権の争い)なのか、区別のつかないことも多いのです。「境界争い」が法律的にむずかしく、訴訟も長引いて泥沼におちいりやすいのは、以上のようなかくれた問題もあるからだと思います。

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