不動産は土地と人間のかかわり方

 不動産の鑑定評価の考え方をとりきめているものが「不動産鑑定評価基準」だが、その中に次のような言葉がある。
 「土地はそのもつ本来的な力の故に、われわれ人間の生活と活動とに欠くことのできない一般的な基盤である。そしてこの土地をわれわれ人間が、各般の目的のためにどのように利用しているかという、土地と人間との関係は、不動産のあり方、すなわち、不動産がどのように構成され、どのように貢献しているかということに、具体的にあらわれている。」
 大変含蓄のある言葉だ。不動産というと土地とか建物そのものを思い浮かべるのが普通だが、それは表面的な事象であり、土地と人間とのかかわり方が不動産の本質なのである。

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 例えば、今まで空地だった所にビルが建ちはじめたとすると、その建物に着目するのでなく、建物がどのような経済活動に供されているのかという観点から、建築という現象の背後にある土地と人間のかかわりに注目することである。もしその建物が賃貸マンションであれば、その一帯は、今後、住居地域としてますます発展する一つの象徴かもしれない。周囲に空地がまだ点在していれば、同じような動きが波及することが予測でき空地の地主へのアプローチのヒントとなろう。また貸ビルが建てられたとする。そのビルにはテナントが入居することになる。どのようなテナントが入居してきたかを注意深く観察するだけでも、その地区の今後の商圏の動きもつかめるだろうし、また、世の中ではどのような業種が今伸びようとしているのかのヒントも得られるのではないだろうか。
 各種の銀行取引発生の源には人や物が「動く」ということがある。たとえば、一定のマーケットの中で融資あるいは預金を推進するといっても、人口増があるのか、商業集積地になり得るのか、流通業が進出できるのかで大きく戦略が変わってくるはずである。これらマーケットの動向の最大のヒントは不動産の動きのなかにある、といえないだろうか。
 ある地区に進出して来る企業体が土地を買うのか買わないのか。また土地を借りるのか借りないのかという事も融資推進・預金吸収での大きなポイントになるが、この点も近隣で、類似の不動産取引の実態をつかむことにより、応用の鍵が得られるかもしれない。
 スーパーが進出したから、集金はどうしよう、従業員との取引はどうしようと対策をねる。また分譲マンションができれば、即座に戸を叩いて取引のお願いに上がり、提携ローンや提携のフラット35をもらいたいというような活動をしがちである。それは当然のこととして、もっと不動産の動きそのものに眼を向けて、その取引の源にまで介入していくことが、いま、求められている。
 不動産の動きを充分理解し、関連するすべての局面で銀行取引拡大のビジネス・チャンスを貪欲に追求することが必要なのである。

土地
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