公園の一部を借りている場合

七年ほど前に、市の許可を得て、公園の一部を借り、小さな建物を建てて売店を経営しています。今度、公園の運動場が拡張されるとかで、建物をとりはらうようにとの通知が市からきました。とりはらわなければならないのでしょうか。また、その場合に補償のようなものはいただけないのでしょうか。
地方公共団体が所有する公有財産にも、国有財産の場合と同じく、行政財産と普通財産との区別があります。行政財産とは、地方公共団体が公用または公共用に供し、または供することと決定した財産であり、普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産です。公用に供する財産とは、地方公共団体がその事務や事業を執行するため直接使用することを本来の目的とする公有財産で、例えば、庁舎、議事堂、研究所などがこれに属します。公共の用に供する財産とは、住民の一般的共同利用に供することを本来の目的とする公有財産で、例えば、道路、公園、病院、学校などの敷地や建物などがこれに属します。本問での所有する建物の敷地は、市の公園ですから、この分類によりますと、行政財産の一種である公共用財産の性格をもっています。

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土地

公園には、都市公園法の適用をうける都市公園と同法の適用がない公園とがあります。
都市公園法が適用される公園の使用関係については、同法に特別の定めがあります。すなわち、公園管理者以外の者が都市公園に売店などの公園施設を設けようとするときは、公園管理者の許可を受けることが必要で、その期間は一〇年をこえることができないと定められています。ですから、都市公園の使用関係は、許可という行政処分を基礎とする関係であり、一般私法の規定の適用は排除されます。
都市公園法の適用がない公園は、行政財産として、地方自治法の規律に服します。行政財産は、地方公共団体の行政執行の物的手段として、行政目的の達成のために利用されるべきものですから、その性質上、これを交換し、売り払い、譲与し、または出資の目的とすることはありえないことです。また、行政財産を貸し付け、または地上権、地役権などの用益物権の設定や抵当権、質権などの担保物権などの対象とすることを認めると、行政執行の物的手段としての効用が減少し、ひいては行政目的の達成を困難ならしめるおそれがあります。そこで、地方自治法は、行政財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、もしくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができないと定めて、行政財産を私法上の関係において処分または運用することを禁止し、さらにその実効性を保障するため、前項の規定に違反する行為は、これを無効とすると規定しています。これは、行政財産が、その所有の本来の用途および目的にしたがって適正かつ効率的に管理されることを保障しようとする趣旨にでたものです。
ところが、行政財産によっては、その本 来の用途、目的以外に使用することを認めても、本来の用途、目的を妨げないばかりか、場合によっては、その用途、目的にかなった行政財産の効用を高めることもありますし、またその本来の用途、目的が妨げられないかぎり、用途、目的外の使用をさせることにより行政財産の効率的利用を確保することにもなります。そこで、法律は、行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる」と定めています。この行政財産の用途、目的外の使用関係は、使用許可という行政処分を基礎とするものですから、普通財産の貸付契約のように私法上の貸付関係とみるべきではなく、したがって、借地法、借家法の規定の適用も全面的に除排されております。その結果、行政財産の許可使用は、私法上の貸付契約による場合とで、次のような差異があります。
使用期間は、許可に付された期間にかぎられ、また法定更新によって利益をうけることはない。
建物買取請求権も造作買取請求権も発生しない。
使用の対価は公法上の収入である使用料であり、五年の時効によって消滅する。
本問の場合、公園の一部を借りて、売店を建て経営している関係は、公園という行政財産の用途、目的を妨げない限度での使用許可という行政処分にもとづくもので、借地法の適用は全面的に排除されます。
地方自治法によれば、行政財産の使用を許可した場合において、公園もしくは公共用に供するため必要を生じたときは、普通地方公共団体の長は、その許可を取り消すことができると定めています。本問では、市が建物敷地を運動場の用に供するということですから、この規定にいう公共用に供するため必要を生じたときに該当すると考えられます。したがって、市長は、この規定にもとづき、職権で一方的に許可を取り消すことができ、許可が取り消されると、使用関係は消滅しますから、原状回復の義務を負うことになります。
都市公園の場合にも、運動場の拡張は、都市公園法一一条二項に定める取消原因に該当すると考えられますので、市長は、許可を取り消すことができます。しかし、この場合には、同法一二条により、市は許可が取り消されたことによって通常受けるべき損失を補償しなければなりません。
地方自法による使用許可の取消の場合には、補償に関する規定はありませんが、この場合にも、公平の原則および国有の行政財産の使用許可の取消について普通財産の貸付契約の解除の場合の補償規定が準用されていることを考えますと、補償を必要とすべきものと考えます。なお、使用許可には、しばしば取消によって生じた損失は補償しない旨の条件が付されています。このような条件は一種の例文として無効であると解する有力な見解もありますが、相手方の任意な認諾のもとで、個別具体的な事情におうじて、合理的な条件を付したものと認められる場合には、いちがいに無効とはいえないでしょう。最高裁は、都市計画事業である広場設定事業の決定されている土地について、建築許可に付された建築物の無償撤去を定めた条件は、相手方の承諾かおり、かつ、事業実施上必要やむをえない場合には、有効であると判示しています。

土地
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