国有地の賃貸借

国有財産は、それが国の行政目的に直接供されるかどうか、その管理処分に関する法的規律の差異によって、行政財産と普通財産とに分類されます。
行政財産は、国の庁舎などのように、国の行政目的を遂行するために直接供される物的手段であり、その用途、目的に応じて、さらに公用財産(国において国の事務、事業またはその職員の住居の用に供し、または供するものと決定したもの)、公共用財産(国において直接公共の用に供し、または供するものと決定したもの)、皇室用財産(国において皇室の用に供し、または供するものと決定したもの)、企業用財産(国において国の企業またはその企業に従事する職員の住居の用に供し、または供するものと決定したもの)の四種があります。
普通財産は、この行政財産以外の一切の国有財産をいいます。普通財産の内容は、かなり雑多な性格の財産を含んでいま すが、行政財産のように財産自体が行政の用に供されるものではなく、本来的には処分を前提として、その経済価値にもとづいて収益目的に使用され、間接に国の目的 に寄与する財産で、いわば国の私産ともいうべきものです。ですから、行政財産がその用途、目的を妨げない限度でしかその使用収益が許されないのに対して普通財産は、一般に、貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、または私権を設定することが認められ、国有財産法の規定にてい触しないかぎりで、ひろく私法が適用されるものと考えられます。

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土地

国有財産法二一条一項は、土地および土地の定着物を貸し付ける場合は、その貸付期間は三〇年をこえ ることができないと定め、第二項で期間の更新を認めています。これは、一般私法に対する特則を定めたものですから、この制限をこえる貸付期間を定めた場合には、三〇年をこえる部分については無効となります。ですから、そのかぎりで借地法二条の規定の適用が排除されることになります。
それでは、三〇年より短い期間を定めた場合はどうでしょうか。実務上、普通財産の貸付にあたって、二〇年、三〇年というような長期にわたる契約を結ぶことはごくまれで、普通は、一年、二年という短い期間を定め、そのつど契約を更新していくのが例となっています。これは、長期の契約をしていて、その貸付期間中に解除しなければならなくなった場合には、法律上損失の補償をしなければなりませんので、短い期間を定め、期間の満了時に契約の更新を拒絶することによって、損失の補償を免れようとする意図にでたものと想像されます。判例の中には、このような短期の存続期間も有効と解しているものもあります。しかし、借地法の規定の適用が排除されるのは、国有財産法にてい触する限度であって、法律の定める貸付期間をこえない範囲内では、やはり借地法二条の適用があると解するのが相当です。期間の更新がない場合でも、土地所有者である国が遅滞なく異議を述べないときは、貸付契約は当然更新され、前と同一の条件で継続するものと考えられます。
国有財産法二四条一項は、普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国又は公共団体において公共用、公用又は国の企業もしくは公益事業の用に供するため必要を生じたときは、当該財産を所管する各 省各庁の長は、その契約を解除することができると定め、私法上の解除権と異なる特別の法定解除権を認めています。ですから、契約書中に明記していなくても、国は、この規定を根拠として貸付契約を解除することができます。
この規定により貸付契約を解除した場合には、借受人は、これによって生じた損失について、その財産を所管する各省各庁の長に対して、その補償を求めることができます。
その補償の範囲は、解除と相当因果関係にある損失、いいかえれば、解除によって通常生じることが普通であると考えられる損失にかぎります。ですから、少なくとも解除にともなって積極的に借受人の負担した出損は含まれるでしょうし、また、いわゆる得べかりし利益も無視できないでしょう。この補償請求権の消滅時効期間は、会計法三〇条の規定により五年と考えられます。

土地
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