土地明渡しの即決和解

借地人が地代を滞納してばかりいますので、土地を明け渡させたいのですが、すぐではとても無理なので、今までの地代はまけてやったうえ、あと一年だけはタダで貸し、そのかわり一年たったら円満に明け渡してもらおうと考えています。この条件なら、借他人も承知すると思うのですが、ただ、一年たってからまた揉めてはは困ります。なにか確実な方法はないでのしょうか。
借地人が、例えば一年たったならば、借地を明け渡すというように、一定の時期がきたならば、借地を明け渡すという契約が、地主と借地人の間にできたときには、借地人は、その約束を守って、他主に借地を明け渡さなければならないことは、いうまでもありません。しかし、借地人がその約束どおり明け渡さなかったとしたならば、執行官の手で、強制執行をし、借地上の建物などを取り壊して、土地を空地にして引き渡してもらうのでなければ、約束が無意味になってしまいます。
ところで、このように、土地の明渡しの強制執行をするには、一定の時期に土地を明け渡さなければならないということを記載した裁判か、調停もしくは和解の調書が必要です。たとえ公正証書を作り、その中に、例えば借地人は他主に対して、借地を○月○日までに明け渡すこととし、それを実行しないときは、地主から明渡しの強制執行をされてもやむをえない、という趣旨のことが記載されてあっても、それによって強制執行をすることはできないのです。まして、地主と借地人とのあいだで、このような約束をした証書を取り交しても、それによって強制執行ができないことは、いうまでもありません。
それでは、なるべく簡単な手続で強制執行ができるようにするには、どうしたらよいでしょうか。
もし、借地を明け渡すことについては異存はないけれども、明渡しの時期や立退料その他の条件などについて話し合いがつかないというのであれば、次に説明する調停の手続で解決するほかはありません。例えば、今までの地代はまけてやったうえ、一年だけタダで使わせると提案したのに対して、借地人が二年間使わせてもらいたいとか、立退料をもらいたいなどという条件を出し、なかなか折合いがつかない場合などがそうです。
しかし、地主と借地人との間で、明渡しの時期の他の条件について、話合いがほぼできている場合には、比較的簡単な方法があります。それは、即決和解という手続です。

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一般に、和解というのは、当事者間に、権利や義務があるとかないとかいう問題について、争いがある場合に、当事者がそれぞれお互いに譲歩して、争いを解決するための条件を約束することをいうのですが、そのうちで、裁判所で、裁判所の勧告によって和解をするのを裁判上の和解といいます。裁判所の手続で和解が成立したときは、和解調書が作られます。この和解調書は、確定した判決と同じ効力を持ち、これにもとづいて、強制執行をすることができます。
ところで、当事者間で和解についての話がほぼできている場合には、大体決まったことを和解条項として記載し、それによって和解の勧告をしてもらいたい、という申立をしますと、裁判所は、それによって和解を勧告し、その場で話がまとまれば、それにもとづいて和解調書を作成します。これを即決和解といいます。
即決和解の申立をするのには、前述のような和解条項を決めたうえ、次の書式にならった申立書を作成して、簡易裁判所に提出すればよいのです。
この申立書および和解条項は、相手方の数に二を加えただけの数のものを作り、その一通に印紙を貼って、簡易裁判所に提出します。そのほかに、書類を送達するために必要な郵券をおさめることになります。
即決和解の申立を受理しますと、裁判所は、当事者を呼び出して、提出されている和解条項に異議がなく、その条項どおりに和解を成立させる意思があるかどうかを確かめ、当事者にその意思があると認め、かつその条項が違法なものでないと判断したときは、その条項どおりの和解を成立させ、その和解条項を記載した和解調書を作成します。この和解調書によって、強制執行ができることになるのです。
ところで、裁判所における実際の取扱をみますと、特に即決和解の取扱件数が多い場合には、当事者の真意を確かめる時間が短く、したがって、和解条項についての意見や異議の有無を聞かれた場合に、特に積極的に異議のあることを述べないと、その和解条項を承認したものとみられることになるのが実情です。それですから、即決和解をする場合には、和解条項がどのような内容のものであるかを十分理解していることが必要で、内容はよくわからないが、相手方から、たいしたことはないとか、悪いようにはしないなどといわれ、これを信用して、即決和解をしたところ、予期しないようなことで強制執行を受け、不測の損害をこうむったというようなことがないようにしなければなりません。そのためには、即決和解に応ずる前に、専門家である弁護士の意見を聞くことも、有効な方法でしょう。
特に注意をしなければならないのは、委任状を利用して、即決和解をする場合です。即決和解も一種の訴訟手続ですから、弁護士を代理人として、これをすることができます。その弁護士を自分が直接頼んで 委任した場合であれば問題はないのですが、即決和解の場合には、往々にして話がだいたい決まると、相手方からあとは私の方で手続を進めるから委任状を出しなさい、などといわれ、代理人となる人の氏名や委任する事項を白紙にした委任状を渡しますと、相手方がこれを悪用し、全く知らない人を代理人として、全く知らされていなかったような条項で和解が成立し、後でこれを是正する方法はあるとしても、思わぬ損害を被ることがあります。したがって、代理人によって和解をするときも、よくその代理人と話を通じておかなければなりません。

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