鑑定委員会

借地非訟事件、つまり借地法八条の二、九条の二から九条の四までのそれぞれの事件は、当事者間の合理的な借地に関する法律関係を裁判所が後見的に形成するものであって、その裁判の結果が妥当なものであるためには、法律的知識のみならず、社会経済的な特殊の知識経験をも必要とすることはいうまでもないので、原則として、このような特別の知識経験を有する適当な者によって構成される鑑定委員会の意見を聴いて裁判をしなければならないものとされています。鑑定委員会は、裁判所のこのような諮問機関的な役割を果たすものであって、この裁判制度の運用上重要な機能を有するものといってよいでしょう。

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鑑定委員会は、三人以上の鑑定委員によって組織されますが、事件の複雑性、規模等によってその人数が適宜裁判所によって定められます。この鑑定委員会は、常設的なものでなく、各事件ごとに設けられるものですが、その鑑定委員は、地方裁判所が特別の知識経験を有する者その他適当な者から毎年選任した相当数の候補者の中から、当該事件について裁判をする裁判所がその具体的事件についてふさわしい者を三人以上指定して、その指定された者が鑑定委員会を組織することになります。そして、鑑定委員会の機能からいって、この鑑定委員会のメンバーとしては、不動産ないし借地権の評価またはその取引について専門的知識経験を有する者として不動産鑑定士等、法律的な判断を専門とする弁護士、さらに社会ないし経済の一般的な良識をそなえた民間人が指定されるのが通常です。もっとも、当該具体的事件について偏ばな意見の提出されるおそれがあるとみられる、事件の関係人と特殊の関係にある者は、運用上指定されないでしょうから、事件の申立の相手方である地主側の人である不動産鑑定士が鑑定委員の候補者に選任されていても、このような者を当該事件の鑑定委員に指定すること はないといってよいでしょう。
なお、鑑定委員の候補者は、特定の事件について鑑定委員に指定されると、非常勤の裁判所職員となるのであり、事件の処理に関与した日には、日当が支給され、また所定の旅費や宿泊料も裁判所から支給されることになっているのであって、これらの経費は、国が負担し、当事者の負担にはならないのです。
裁判所は、借地非訟事件の裁判をする前に、原則として鑑定委員会の意見を聴かなければならないのであって、鑑定委員会は、裁判所のいわば諮問機関的な役割を果たすものであり、具体的本案に対して妥当な裁判がえられるための重要な存在であります。鑑定委員会は、三人以上の鑑定委員によって構成されますが、その裁判所に提出する意見を決定するには、外部には一切秘密にして、各委員が資料を集め、自由な意見を出し合って議論を重ねたうえで、意見をまとめることになるのですが、意見がわかれた場合には、結局多数決で決めることになります。したがって、本間の場合のように、申立の相手方の人になる者は、その事件の鑑定委員に指定されることはまずありませんが、かりに指定されたとしても、不公正な意見が決定されることはないといってよいでしょう。
そして鑑定委員会の意見は、原則として書面によって裁判所に提出され、また口頭によって提出されたときは、調書に記載され、いずれも裁判記録として当事者にも公開されますが、当事者は、鑑定委員会の意見の結果や評価、判断について意見を述べて、もし誤りがあればその誤りの是正を求めることができますし、裁判所は、もちろん鑑定委員会の意見に対して釈明を求めることができます。当事者は、意見を述べることができますが、鑑定委員会や個々の鑑定委員に対して釈明を求めることはできません。しかし、裁判所に対して意見を述べて、裁判所から釈明を求めてもらうことはできないわけではありません。このように、鑑定委員会の意見が不公正となることのないよう、いろいろの点において配慮されているのですから、不公正な意見が提出されるおそれがあることを懸念して、申立を躊躇する必要は全くないといってよいでしょう。
賃借権の譲渡または転貸について許可の裁判が得られた場合に、その許可の効力が生ずるための要件として、一定の金銭の支払を賃借人が命ぜられるこ ともありますが、その場合でも、その裁判に不服の場合は、もちろん即時抗告によって是正を求めることができます。さらに、即時抗告も棄却されて第一審の裁判どおりに裁判が確定しましても、その金銭の支払ができないとか、そんなに高額の金銭の支払をするのを欲しないときは、その支払をする必要がないのであって、裁判の確定後原則として六ヵ月内に支払をしないときに、許可の裁判も含めて裁判そのものが効力を失ってしまうことになるのです。したがって、金銭の支払をしなくて もよい代わりに、賃借権の譲渡または転貸も適法にすることができないことになるのは、やむをえません。

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