借地上建物の買取価格の計算

友人Aが借地上にもっている建物を譲り受けたいと思いましたが、地主が名義書換を示知せず、Aは借地権譲渡許可の裁判とかを裁判所に申し立てましたが、これも結局うまくいかなかったようです。それでも、私がしいてAから建物を買い受けるとすれば、結局、私は土地を明け渡さなければならないことになると思いますが、その場合に、私は建物を地主に買い取らせることができるのでしょうか。そして、そのときの買取値段というのは、どのように計算されるのでしょうか。建物は建築後三〇年以上もたっているのですが、場所はターミナル近くの商店街で、このあたりでは借地権というのも財産だというふうにいわれております。
本問の第一点は、裁判所が土地賃貸人の承諾に代はる許可を与えなかったのに地上建物の譲受けを強行した場合には、借地法一〇条の買取請求権が認められるか否かです。これは許可の基準 とも相対的に検討する必要があるので、はっきりしたことは今後出る判例を待ってからでなければいえません。しかし、そもそも借地の場合には適正な地代収受さえ確保されれば、賃借権の譲渡に地主の同意を要件とする合理的根拠がとぼしく、とりわけ、借地人の役下した資金は回収しやすくしてやるべきだと思いますので、たとえ買主がひと儲けすることになっても、買取請求は肯定されるべきだと解釈しておきます。

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土地

買主がAから買い受けた建物の買取りを地主に対して請求できると解するときは、その次に本問の第二点つまり建物等の特価を算定する基準、方法が問題となります。
時価算定の基準時点。これは、買収請求のあった時に売買が成立したのと同一の効果を生ずるから、その時つまり買取請求をした時点が基準になる、とされています。したがって、借地法四条の場合には、借地権が消滅した時点の価格ではなく、また同法一〇条の場合には、買取請求者が建物を取得した時点の価格ではありません。
建物時価の算定方法。およそ買取請求で問題になる時価というものは、客観的に定められ、買取請求者者がふっかけた値段などを基準とするものではありませんが、建物の特価は、少なくとも、それを壊した場合の古材木その他動産として評価すべきではありません。つまり土地に附着したる状態に於て建物自体が有する価格ですが、具体的には裁判所で算定してもらうほかありません。
建物取得者が増改築した部分。買収請求ができるのは、借地人が権限により土地に付図させた建物その他の物件に限られ、建物取得者がその後に付属させた物件には及ばないわけですが、増築部分がごく僅少であり、撤去するならば従前の建物の効用を減殺し、また増築によって店舗兼住宅としての価値、利用価値が増大しているという点から、増築部分を買取請求できる範囲に含めた下級審の判例もあります。
場所的利益と借地権価格。これが本問のヤマになりますが、判例の態度を公式的にいえば敷地の借地権の価格は加算すべきでないが、この建物の存在する場所的環境は参酌して算定するとされています。もっとも、この点はかなり問題がありますから、つぎで別に解説しましょう。
抵当権などの負担がある場合。問題の建物が抵当に入れられたり、借家人が居住していたりする場合における買収代金のなかで例外的な地位にあるのは、借家人がいる場合です。
判例は、「建物の存在する環境によって異なる場所的価値はこれを含まず、従って建物がへんぴな所にあると又繁華な所にあるとを問わず、その所在場所の如何によって価格を異にしない」とした下級審の見解が誤っていると説示したものですが、その理由として「特定の建物が特定の場所に存在するということは、建物の存在自体から該建物の所有者が享受する事実上の利益であり、また建物の存在する場所的環境を考慮に入れて該建物の取引を行うことは一般取引における通念であるから」だと述べています。
ですから、本問のようにターミナル近くの商店街にある建物ということになれ ば、それは場所的利益として加算されます。ついでに、いくつかの具体的事例をあげておきますと、
場所的利益を考慮した額とは、買取請求当時における建物の借地権つき売買価格から借地価格を控除したものである。また、借地権がない建物の売買でも、建物の場所的経済価値として借地権価格の一五%相当額が加算される慣例になっているが、これはいわゆる場所的利益とは異質の内容であって、場所的利益の算定に対し適用すべきでない算定に際しては、建物の構造にもとづく使用上の便宜、交通の便宜、環境の良否、その地方における建物の需給関係などが考慮されるべきであって、新築費から使用年数に応じた減耗率を差し引いたものが建物の取引価格だと速断してはならない。
建物が店舗か住宅かで場所的利益は著しく違い、また建坪と敷地面積の比率や述物の残存耐用年数なども考慮しなければならないのであって、単純に更地の一五%相当額を場所的利益だとみるべきではない。
さきの判例のほか、以前の判例も、算入すべきではないと明言していますが、そもそも買取請求者には買い取らせるべき借地権がないと考える以上、この結論はやむおえません。ただ、実際問題として、場所的利益の算定で交通の便宜や環境の良否をいうときには、すでに土地の問題が入っているわけですから、すなおに場所的利益は借地権価格に準拠して算定するということに比し、実質的には大差がありません。

土地
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