更新料と立退料

借地権の期間か満了したがなお建物が残っていて、借地人の方ではひきつづいてその土地を借りたいと希望しているのに、地主の方ではこれを拒絶しようとし、どちらもゆずらない場合は、結局訴訟となり裁判所によって更新拒絶あるいは異議申立の正当事由があるかないかが判定されることになります。訴訟の結果、正当事由がないとして更新が認められたときには、更新料の支払というような問題は起こりません。
これに対して、当事者の話合いで借地契約が更新されたり、調停の結果借地権が存続することになったような場合には、借地人から地主に更新料が支払われるのが普通のようです。更新料を払うか払わないか、またその額はどれくらいにするか、ということは、結局当事者間の話合いで定まるものです。このように更新料というのは、法律の規定にもとづくものではなく、実際社会の慣行のなかから生まれてきたものですから、その性格もはっきりしたものではありませんが、大体次のように考えられます。
借地権の期間が満了したがなお建物が残っているときに、これが更新されるかどうかは、法的にみれば借地法四条または六条の正当事由が認められるかどうかにかかっているわけですが、この判定はなかなか微妙であり、よほど極端な場合でなければ、あらかじめ勝敗を確言することはできません。一般的には、正当事由が認められるのは難しく、したがって、借地権は建物の朽廃まで存続する可能性が強いといえましょう。しかし、正当事由が認められる可能性が全くないというわけではなく、借地権の存続期間が満了したとき、借地人は、幾分かは消滅の危険性をはらんだ借地権存続の期特権のようなものを特っており、この期待権はそれなりの価格をもっていると考えられます。話合いによって借地権が存続することになると、このような消滅の危険性はなくなり、借地人は完全な借地権を手に入れることになります。これは、地主が裁判で争うことをやめてくれたおかげですから、借地人は、更新された借地権の価格とそれ以前の期特権の価格との差をその対価として支払うべきであるとされ、これが更新料だと考えられます。その他、節約できた裁判の費用だとか、訴訟を差し控え譲歩したことに対する一種の慰謝料的なものも、更新料の一要素だといえましょう。

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土地

立退料が支払われるのも、原則として、話合いによる明渡しの場合ですが、その性質については、次のように考えられます。
第一は、このような更新料のいわば裏がえしに当たるもので、存続期間満了のときに借地人がもつところの期特権的なものの対価です。裁判費用の節約分なども入ります。
第二は、移転費用に当たるものです。
第三は、明渡しによって、借地人が事実上において失う利益の補償です。例えば、居住用の建物を建てていた場合には、他の土地に移ることによって、広さや交通の使が失われたり、あるいは通勤、通学の距離が増加することが考えられますし、営業用の建物を所有していた場合、特に小売商を営んでいた場合などは、得意先を失ったりする損失が大きいでしょう。このような損失の補償分か立退料の一要素をなすものと考えられます。
以上のように、更新料にせよ立退料にせよ、当事者があくまで裁判で争う場合には、イチかバチかの争いとなり、勝った者はまる得、敗けた者はまる損という結果になるところを、若干の金銭の支払で、できるだけ公平に見返しようとするものです。これは、借地権というものが事実上相当な価格をもつものであるのに、法律の上ではそれが考慮されないことに対処する合理的な慣習であるといえましょう。ところで、借家に関する訴訟では、家主からの立退料支払の申出が、借家法一条の二の正当事由を補強するものとされ、また立退料と引き換えに明渡しを命ずる判決が非常に多くなっています。借家の場合には、立退料は、今日では法律上のものになっていると考えられます。借地でも同じような扱いがなされるようになることが予想されますし、ことに、借地権は更新後も存続期間が定まっていて、途中で消滅することは原則として考えられないので、更新料を認める必要が大きいと考えられます。

土地
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