土地建物の収用に不服のある場合

一般に、行政庁の違法または不当な処分について不服がある場合には、行政不服申立の途があり、行政庁の違法な処分に対して不服がある場合には、行政訴訟の途が開かれています。行政不服申立の手続については行政不服審査法が、行政訴訟の手続については行政事件訴訟法が定めています。ですから、土地収用法上の処分に不服がある場合には、これらの法律に従い、行政不服申立なり行政訴訟なりを提起することができるわけですが、土地収用法は、土地収用の特殊性にかんがみ若干の特例規定を定めていますので、次にその概要を説明します。
都道府県知事または建設大臣の事業認定に不服のある者は、行政不服審査法の手続に従い、国土交通大臣に審査請求または異議申立をすることができます。その不服申立期間は、事業認定の告示があった日の翌日から起算して三〇日以内です。行政不服審査法による申立期間が短縮され、その起算日についても特例が定められていることに、ご注意ください。
収用委員会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に審査請求をすることができます。この場合の不服申立期間は、裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から起算して三〇日以内です。これも、行政不服審査法による不服申立期間の特則です。

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不服申立は、土地収用法上の一切の処分について認められているのではなく、次の処分については不服申立をすることができません。都道府県知事がした事業の認定の拒否、非常災害の際の土地の使用の許可、緊急に施行する必要がある事業のための土地の使用の許可がそれです。さらに、収用 委員会の裁決のうち損失補償に関する部分については、不服申立をすることが許されないこととなっています。
事業の認定に関する処分、収用委員会の裁決についての異議申立、審査請求に対する決定、裁決は、土地調整委員会の意見を聞いた後でなければすることができません。
国土交通大臣は、異議申立、審査請求があった場合に、事業の認定または裁決に至るまでの手続その他の行為に関して違法があっても、それが軽微なものであって事業の認定または裁決に影響をおよぼすおそれがないと認めるときは、異議申立、審査請求を棄却することができます。
事業の認定または収用委員会の裁決が取り消されますと、再び事業の認定または裁 決が行なわれることになりますが、この場合、当該取消の理由となったものを除き、すでに行なった手続その他の行為は有効で、その手続等を省略して事業の認定または裁決をしてよいことになっています。
収用委員会の裁決のうち、損失補償に関して不服がある場合には、裁決書の正本の送達をうけた目から三ヵ月以内に、問題となっている土地を管轄する地方裁判所に訴えを提起することができます。この訴えの被告は、提訴者が起業者であるときは、土地所有者または関係人であり、提訴者が土地所有者または関係人である場合には、起業者です。この訴えは、裁決の適否を争う点で抗告訴訟に類似し、したがって、出訴期間の制限をうけるわけですが、その実質は、損失の有無、多寡という当事者間の財産上の争いが中心をなし、この意味では当事者訴訟的ですので、当事者を起業者対土地所有者、関係人としているのです。
損失補償に関する訴えの提起は、事業の進行および土地の収用または使用を停止しないこととされています。これは、収用または使用それ自体を争う訴えではないからです。ですから、損失補償の訴えの提起によって、収用手続の進行を停止させることはできません。しかし、補償を除き裁決そのものの違法が訴訟の対象となっている場合には、行政事件訴訟二五条の適用をうけますので、裁判所に対し執行停止の申立をして、収用手続の進行を停止させることができます。また、異議申立、審査請求を提起した場合には、行政不服審査法三四条の適用をうけますので、同条所定の要件を具えるときは、執行停止の申立をして、収用手続の進行を停止させることができます。
以上のように、土地収用について不服がある揚合には、国土交通大臣に対する不服申立や行政訴訟の途が認められていますが、その前に土地所有者および関係人は、収用委員会に意見書を提出して、自己の立場を擁護し、その主張の内容を明らかにすることができます。収用委員会の裁決手続においては、四段階に分けて意見書の提出を認めています。
審理開始前の意見書 - 土地所有者および関係人は、縦覧期間内に、収用委員会に対して意見言を提出することができます。期間経過後に意見書が提出された場合でも、収用委員会は、相当の理由があると認めるときは、その意見書を受理することができます。この場合には時間的な制約はありますが、内容的には、補償以外の点、手続の適否、収用、使用の当否、その時期に関するものなど、その種類、範囲について制限がありません
損失補償に関する意見書 - これは、損失補償に関するかぎり、収用委員会の審理が終了するまで提出することが認められています。
命令にもとづく意見書 - これは、収用委員会が審理の内容を明確にするために提出を命じた意見書です。
審理開始後の意見書 - これは、審理開始前の意見書の内容を補足説明する範囲にかぎって許されます。
収用委員会の席上で自己の主張を全部口頭で明らかにすることは困難ですし、後日の争いを防ぐためにも、この意見書の提出を活用することは有効です。

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