被収用不動産上の権利

数年前にAから頼まれて融資をした際、Aの土地に抵当権を設定しました。ところが、Aの土地は付近の土地とともに道路建設のために収用されるようです。もし収用があった場合に抵当権はどうなるのでしょうか。そして抵当権による競売を開始していた場合はどうなるのでしょうか。
。土地収用法八条は、収用手続に参加し補償を請求することができる関係人の範囲を定めていますが、抵当権者は、同条三項にいう関係人に該当しますから、抵当権の対象であるAの土地が収用されることによって損失を受けるかぎり、補償を請求することができます。
ただし、抵当権は、所有権から離れて独立の経済的価値を有するものではなく、債務者の債務不履行を条件として、その目的物につき他の債権者に優先して弁済を受ける権利であり、その条件が成就するときは、所有権の全価値の上に存するものですから、多くの場合、所有権との間に個別的にその価値を算定することは困難です。ですから、抵当権設定付の土地の収用にかかる損失の補償については、土地収用法六九条但書に定める各人別に見積ることが困難であるときにあたるものとして、いわゆる代位主義により、土地所有者に一括して補償金が支払われることになります。
この場合は、土地収用法一〇四条に定める物上代位の原則により、抵当権は、その土地の収用によって債務者が受けるべき補償金または替地に対しても実行することができます。
次に、抵当権に基づく競売開始決定後、抵当権の目的物である土地が収用された場合、抵当権はどうなるでしょうか。従来の解釈では、収用手続が優先するという考え方に立って、競売手続開始決定後その目的たる土地の一部が土地収用法により収用せられたるときは、その収用せられたる部分に対する開始決定はこれを取消すべきものなるも、残余の部分に対する手続はこれを取消すべきものにあらず。と解していました。しかし昭和四二年の土地収用法の改正によりまして、裁決手続開始の登記前に担保権の実行による差押がある場合については、同法九六条の規定によって解決されることになりました。つまり、裁決手続開始の登記前に、競売により債権者が被収用物件を差し押えた場合には、起業者は、差押にかかる収用対象たる権利に対する補償金等を、当該差押による配当手続を実施すべき機関に払い渡さなければならない、とされています。その結果、配当実施機関には、補償金等に対する一種の法定管理権が与えられることになりました。

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土地

所有する土地について、もし収用された場合、この土地のうえの賃借権について、何らかの措置を講じなければならないものでしょうか。
賃借権が設定されている土地が収用される場合、その土地の所有者は、なんらかの措置を講ずべきでしょうか。土地の賃借人は、登記の有無を問わず、土地収用法八条にいう関係人として、手続に参加し、損失の補償を受けることができますので、土地所有者から別段の措置を講ずる必要はありません。しかし、賃借権の存否について争いがある場合がありますので、賃借人との間に話をつけ、賃借権の有無をはっきりと起業者に申告する必要があります。
土地収用の手続が開始されても、収用、使用の目的物に対する権利は、依然、土地所有者または関係人に留保されております。権利取得裁決がなされますと被収用者は補償請求権をもち、他方、起業者は、目的物に対して一種の公法上の物権的権利を取得することになります。次に、権利取得裁決で定められた権利取得の時期において、目的物に対する権利の得喪が行なわれます。この所有権取得の性質は、承継取得ではなく、瑕疵または負担を継承しない完全な所有権の原始取得だとされています。
目的物に対する権利の得喪以後に目的物の滅失、毀損があった場合には、すでに権利を取得した起業者の負担に帰するのが当然です。また、収用手続開始後、権利取得裁決時までは、目的物に対する権利は、依然、土地所有者、関係人に留保されていますので、この段階で目的物の滅失、毀損がありましても、土地所有者、関係人の負担に帰するのが妥当と思われます。問題は、裁決の時以後、権利取得の時までに、目的物が滅失、毀損した場合、誰の負担に帰するかです。この段階において、この種の危険負担を被収用者たる所有者等に帰することは、公平の原則に照らし酷ですので、土地収用法一〇三条は、権利取得裁決又は明渡裁決があった後に、収用し、もしくは使用すべき土地又は収用すべき物件が土地所有者又は関係人の責に帰することができない事由に因って滅失し、又は毀損したときは、その滅失又は毀損に因る損失は、起業者の負担とすると定め、危険負担は起業者とする旨を明示しました。
昭和四二年の土地収用法の大改正によって、新たに裁決手続開始登記嘱託の制度が創設されました。この制度は、別に採用されました補償金の支払請求制度の円滑化のための不可欠の前提となっており、またこの登記後は、起業者が一定の者を相手として収用手続を進めればよく、手続の明確、迅速 が期せられるという効果があります。詳述しますと次のとおりです。第一に、手続開始登記後の譲渡などの処分は、禁止されてはいませんが、起業者に対抗することができなくなります。第二に、裁決手続開始登記前における将来の損失補償請求権の処分が禁止されます。第三に、裁決手続開始登記前に被収用物件の譲渡、差押等の処分があった場合、登記後は、損失補償請求権の譲渡、差押等が禁じられます。

土地
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