土地収用とその対象

全国いたるところで、道路、鉄道、ダムの建設のような大規模な開発事業が進められていますが、これらの事業で土地を必要としないものはありません。土地といっても、適当な場所に国有地、公有地があるわけではありませんから、結局、私人の所有地を取得することを前提として事業が推進されることになります。ところで、 公共事業が土地を必要とする場合、土地所有者が任意に譲ってくれれば問題ありませんが、どうしても売ってくれない場合もあり、かりに売ってくれるにしても無法に高い値を吹っかけられる場合もあります。しかし、だからといって、公共事業をやめるわけにはいきませんので、そのような場合に、相手方の意思いかんにかかわらずその土地を強制的に取得する手段が必要となってきます。そのような制度を土地収用といい、そのための手続を定めているのが土地収用法と呼ばれる法律です。
ある事業が公益性をもつからといって、当然に土地収用ができるわけではありません。土地収用法は、三条において、土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業を列挙していますが、ここに列挙された事業の一つに該当するものに関する事業でなければ、収用することができません。しかも、ここに列挙された事業といっても、それは事業の性質が公益性をもっているという資格を認められたにすぎませんから、さらに、個別具体的な場合において、特定の土地を収用することができるためには、その土地が公共事業の用に供するため必要であり、かつ、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正かつ合理的な場合であることを要します。

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土地

市の図書館に隣接した土地、建物に住んでいますが、市では、図書館の規模を大きくするため、私の土地を買い取りたいといってきましたが、土地を手放す気になれず拒否してきたところ、もし売渡しに同意しなければ土地収用の手続をするといってきました。このようなことはあるのでしょうか。
市の図書館拡張のため、土地が収用されるかもしれないということでが、俗に図書館といってもいろいろのものがありますが、もしそれが図書館法にいう図書館であれば、土地収用法三条二二号に定める事業に該当しますので、一応収用することのできる事業と認められます。問題は、図書館を拡張するためには土地を取得することが必要であり、かつ、土地を図書館の用に供することが、土地の利用上適正かつ合理的であるかどうかです。このことが認められるのに、あなたが市の任意買収の申出に応じない場合には、たとえ祖父伝来の土地であっても、結局は収用されることをまぬがれません。
土地収用という言葉が示すように、土地収用の対象の本体は、土地です。土地は、収用のもっとも通常の目的物です。しかし、土地収用法は、収用の対象として、土地のほかに、次のようなものを掲げています。すなわち、その土地にある次の権利、地上権、永小作権、地役権、採石権、質権、抵当権、使用貸借または賃貸借による権利その他土地に関する所有権以外の権利、鉱業権、温泉利用権。
土地に定着する物件に関する所有権以外の権利、水を利用する権利、立木・建物等、土石砂れきがそれであり、これらについても、収用・使用が認められています。
不動産であって、収用の対象となるのは、原則として土地だけで、建物のみか収用の対象となることはほとんどありません。それは、特定地点の土地には不代替的な性質があるのに対して、建物は、これを移転しまたは撤去することが可能で、したがって、収用し取得する必要をみないからです。
借地して建物を所有していますが、道路の拡張のため私の借地を含む一帯の土地が収用されることになりましたが、このような場合、私にとって収用されるのは借地権だけなのでしょうか、それとも建物も一緒でしょうか。私の希望で、建物を同時に収用してもらったり除いてもらったりすることができるものでしょうか。
借地権は、土地収用法五条一項一号にいう土地に関する所有権以外の権利として収用の対象となり、借地権が収用されると、その結果として地上建物を移転しなければならなくなりますが、建物それ自体は起業者が必要としているわけではありませんから、独立して収用されるということはありません。
もっとも例外的に、建物または建物に関する所有権以外の権利が、収用、使用の対象となることがあります。それは、次のような場合です。
土地の上にある建物をその土地とともに公益事業の用に供することが必要かつ相当である場合。
土地の上にある建物をその土地とともに公益事業の用に供するため、建物 に関する所有権以外の権利を消滅、制限することが必要かつ相当である場合。
収用地上の建物を移転することが著しく困難であるとき、または、建物を移転することによって利用価値を失い、その建物を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、建物の所有者はその建物の収用を請求することができます。
収用地上の建物を移転しなければならない場合において、移転料がその建物の取得価格をこえるときは、起業者は、その建物の収用を請求することができます。
建物を収用してもらえるかについては、建物が収容地上の建物を移転することが著しく困難であることの要件を充たすかぎり、その建物の収用を請求することが可能です。その場合、収用される建物の補償については、近傍同種の物件の取引価格等を考慮して、相当な価格をもって補償されることになっています。

土地
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