土地利用の計画的促進

土地利用の計画的促進は、本来、公共の手による開発の形をとって行なわれるべきものです。新住宅市街地開発法に基づく大規摸住宅地開発に対する土地先買権や土地収用権は、開発手法による土地利用の転換に制度的裏づけを与えたものです。フランスのZADの制度も同様な方法と考えられます。しかし、収用による既存土地利用の転換も、きわめて慎重に行なわなければなりません。それは単に財産権の問題にとどまらず、生活権の問題である場合があるからです。住宅市街地開発法にも、農民の生活再建措置に関する規定がありますが、現実の通用にあたっては問題が多い。また住宅市街地開発法は、むしろ未開発地の土地利用転換に関する制度であり、一番問題となる既成スプロール地域の土地利用の転換をはかる制度が全くないのも問題であり、適正な土地利用の促進による地価の抑制安定は、実際上、効果をもつに至っていません。

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地価公示制度を導入するためには、鑑定評価の基準となる土地利用計画が必要であるという議論はうなずけますが、地価公示制度自体が地価抑制、地価対策のうえにもつ効果も未知数であり、この面で、土地利用計画が地価抑制に効果をもつとは断定できません。また、効果ありとしてもそれは、地価公示制度によるものであって、直接土地利用計画の効果とはいえません。
商業地地価等の住宅地への波及効果など、高度な土地利用が隣接する抵次な土地利用の土地におよぼす波及効果を防ぐために、土地利用規制を組分し純化する問題についてふれると、土地利用規制の機能として、土地利用種別の規制を考えれば、二つの場合が考えられます。土地利用が規制される結果、土地利用が純化し居住環境が保全され、あるいは将来も保持されることが保証される場合は、同じ土地面積に対する同じ建築投資がより大きな効用を生むことになります。これは、いわば土地の豊度が高く維持されることであり、地代も相対的に高くなり、地価も高まるでしょう。しかし、良好な居住環境に対する欲求が弱ければこの効果は弱まります。逆に本来すぐれた立地にあり、いわば土地の豊度が高いにもかかわらず、不適合な土地利用規制が行なわれる場合には、立地条件にみあった地価より低く抑えられます。都市計画施設等の区域内における建築制限などはその例です。
土地利用規制の効果として土地あたりの建築量が制限される場合についても、二つの場合が考えられます。第1は、土地に対する追加投資が制限されるという場合です。追加投資が行なわれれば超過利潤を生じるような土地に対して、容積率等の厳しい制限を行なえば、追加投資が不可能になり、制限のない場合より土地面積あたりの地代は低くなり、地価は総体的に低く抑えられます。しかし、この効果も追加投資が超過利潤を生むような場合、すなわち立地条件の良い土地についてあらわれる効果です。逆に住宅地のような場合、土地面積あたりの建築量を制限することは居住環境の維持に役立ち、地価を相対的に高める効果をもちます。
要するに、適当な土地利用計画は、地価を維持し、相対的に高める効果を持ちますが、その土地利用規制が土地の持っている立地条件などからくる可能性を制限する場合にあってはじめて、地価を抑制する効果をもってきます。商業地地価あるいは、特殊用途の場合の地価が、住宅地に波及して地価を引き上げている場合は確かに存在します。それが単なる期待価格である場合には問題はありませんが、住宅地という土地利用形態のまま実現するところに問題があります。それは、土地利用が地価を決めるという関係が逆転して、地価が土地利用をきめるという関係がはたらき、住宅地としても望ましくない木造アパートや違反建築のような高密度な土地利用形態が生じることによってはじめて実現されます。このような高地価の実現形態は、土地利用規制を強化することによって防止することができ、その限りでは、地価の波及的上昇は抑制できますが、地価高騰を全体として抑制できないかぎり、このような対症療法では別の形での矛盾を生み出すことになります。
結論的にいえば、土地利用計画を立て、適正な土地利用形態の都市を作るということは、土地の効用をたかめることであり、一般的にいえば地価を上昇させる効果をもちます。ただ、その他の地価に対する総合的対策が伴うならば、土地利用にみあわない異常な地価上昇は規制することができるはずです。しかし、地価の一般的な高騰傾向は、資本主義的生産方式と、土地私有制の矛盾から生じるものであって、その双方を変えることなくしては、基本的に解決できない問題です。

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