住宅地における相隣関係の規制

相隣関係とは隣接する土地の所有権、地上権間の相互関係をさし、民法209条から238条に相隣関係の規定があり、建物は隣地境界線から50cm以上離さなければいけないという規定などがそれであり、最近いわゆる日照権裁判を通じてにわかに問題になってきました。相隣関係が問題となるのは、建築活動が隣接建物の日照、採光や通風を害することが、土地所有権行使の濫用であるという理由にります。イギリスにおいては、日照と採光の権利が採光権法により保護されていますが、日本では建築基準法に住宅の日照と居室の採光の規定がありますが、これは住宅を新築する側の規定であり、隣地の建物がこれを妨害してはいけないという規定は存在しません。建物の相隣関係を規定しているものは、建築基準法の形態規制の中に、空地地区制にみられる隣地境界からの空地幅の現定、容積地域制などにみられる隣地境界よりの斜角制限などの規定があるのにとどまります。しかもこれらは、必ずしも日照、採光などに関連して相隣関係を規制したものではありません。したがって、適法に建築された建物によっても隣地の日照、採光がおかされる事は決して少なくありません。過去の日照権裁判においては、必ずしも建築基準法に違反するかしないかをもって、日照権侵害が、民法上の適法性をもっているかどうかの基準にはならないとしており、近年では、建築基準法違反建築が相隣関係をおかすものとして敗訴した例も出てきています。

スポンサーリンク
土地

今まで建築基準法にもりこまれていた相隣関係を規制する規定は、空地地区制にある1mまたは1.5mの隣地境界からの壁面線の後退と、容積地域制にある隣地境界よりの斜角制限ですが、さらに東京都では1種から3種までの高度地区を指定しています。1種高度地区と3種高度地区には北側隣地境界からの斜角制限がもうけられており、この高度地区の制度は、明らかに日照、採光等の確保を目指して相隣関係を規制したものといえます。1種高度地区は、東京区部周辺の住居地域に指定されており、建物の部分から北側隣地境界までの距離の1.25倍に4mを加えたもの以下で、かつ10m以下というのが建物高さの限界となっています。この規定でいくと、2階建の建物は北側隣地境界から大体2m離れて建てなければならず、この場合、北側隣地内で冬至に正午をはさんでの4時間日照が得られるのは,、敷地内に約10m入った所から北の部分です。これらの規定は、日照確保のうえでは決して十分なものとはいえませんが、高密化している既成市街地に適用する場合の限界を示しているといえます。建築基準法改正にあたっては、細分化された用途地域制と組みあわせて、隣地境界よりの後退壁面線、および北側隣地境界よりの斜角制限を導入することになりますが、このことにより、東京都の高度制限とほぽ同程度に相隣関係を規定しうるようになります。しかし、これだけではなお不十分であり、日照権については,建築基準法とは別個に採光、日照権の保護に関する規定を民法等の中にもうける必要があるとされています。
建築物の集団規制は、何といっても消極的に個々の敷地における建築活動の限界を示したものであって、それ自体には積極的に将来の地区のあるべき姿を規定してゆくという力はありません。したがって、居住環境を守り良い居住環境を積極的に作り出してゆくうえでは限界があります。今後の方向としては、特定街区制度、建築協定などの制度を発展させ、地区の将来のイメージを描きうるような制度を創り出してゆく必要があります。

土地
都市経済の住宅需要/ 時代と土地市場/ 公示価格/ 不動産取引価格の調査要領/ 標準価格地域/ 宅地開発事業の到達点/ 適地が不適地化する状況/ 住宅の適地条件/ 住宅立地と交通/ 住宅立地の特徴/ 通勤圏の拡大/ 通勤輸送と通勤混雑/ 通勤時間と通勤費/ 宅地開発と交通計画/ 都市再開発の要因/ 交通の混乱と公共施設/ 都市再開発の手法/ 都市再開発と業務施設/ 空間利用と開発価値/ 土地所有権/ 借地権および地上権/ 建物所有権と管理方法/ 都市整備の方向と再開発/ 土地利用計画と土地問題/ 土地利用計画と概念/ スプロール防止と広域土地利用/ スプロール規制と都市計画法/ 住宅地の土地利用計画/ 住宅地の立地条件/ 居住環境悪化の防止と土地利用/ 住宅地の密度規制と居住環境/ 住宅地の用途規制と居住環境/ 住宅地における相隣関係の規制/ 地価対策としての土地利用計画/ 土地利用の計画的促進/ 土地政策と土地税制/ 土地税制について検討すべき各面/ 固定資産税の評価の適正化/ 土地税制の方向/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー