住宅地の用途規制と居住環境

用途の混合による居住環境の悪化では、住居地域における不適合用途の混在の問題と、工業地域における住居施設の建設がとくに問題となります。日本における用途規制は、用途地域制を基本とし、これに住居専用地区、工業専用地区などの専用地区制と、小売商業地区、文教地区などの特別用途地区制を加えたものになっています。日本の用途地域制は混合地域制であるといわれるように、地域の土地利用の純化の機能はきわめて弱く、つまり工業地域においても住宅の建設はなんら規制されず、住居地域においても、ある種の工場の立地が可能です。専用地区制はこの欠点を補うものであり、住居専用地区における工場の建設、工業専用地区における住居施設の建設は禁止されることになります。しかし、このような専用地区制の適用の例は少なく、きわめて不十分な用途地域制のみが、住宅地における用途の混合を防止する手段なのです。なお、このような用途地域制でさえ都市計画法指定都市のすべてに通用されていません。

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用途規制を効果あるものとしてゆく方向としては、二つの方向が考えられます。一つは用途地域を細分化し、純粋地域制に近づけてゆく方向であり、もう一つは、北欧的都市計画にみられる地区詳細計画による用途、形態の同時的規制の方法です。地域地区制の純化、細分化の方向は、建築基準法の改正にあたって追求されている方向ですが、いわばアメリカの諸都市で行なわれている純粋地域制への接近です。しかし、現実の混合化した都市に対して純粋地域制を適用していこうとすれば、適用地域の大きさが細分化され、行政的にいたずらに複雑で、実効件のうすいものとなってしまいます。本来、純粋地域制は、計画開発と結びついて形成された良好な居住環境の悪化を防止するうえでは大きな役割を果たしうるものと考えられます。建築基準法改正のねらっているものは、形態規制と関連づけつつ、住居地域、商業地域を数種に区分する中間的なものですが、既成市街地に対する地域制と新開発地に対する地域制を区分し、新開発地に対しては思いきった純粋地城制を適用するのも一つの考え方です。
純粋地域制は、アメリカにおいて発達したものですが、ニューヨーク市では1916年に地域地区制を採用した時には、わずか3種類でしたが、その後次第に増加して11種類にまでなっていました。1951年には、全面的な再検討が行なわれ、結局38種類の地域制がもうけられました。しかし、このように地域制が複雑になると、地域ごとに許可する用途と排除する用途との表示が複雑となり、用途を活動形態の共通性、機能の従属性などから再分類してまとめる努力がされ、これが新しい計画概念を導く可能性をもってきているといわれます。また、局地的公害発生要因としての工業をとりしまるという観点にたつと、業種による規定は、いくら細かく規定しても、産業技術の革新により次々と新しい、いままでの分類に属さない工業業種があらわれ、そのたぴに土地利用規制の規定を変えなければならないという問題を生じてきます。このような場合、建物用途を細分化して規制すべき用途を指定するかわりに、騒音、振動、粉塵、ガス等の環境悪化要因ごとにその活動の許容限界、あるいは逆に守るべき環境基準そのものを数量的に定め、これに従って用途の規制を補完する必要があるとされています。このような方法によれば、建築物のない公害発生要因についても取りしまることができ、敷地を広くとること、あるいは公害防止技術の発達とその適用により、従来排除されなければならないとした機能も排除しないですむ場合もおきてきます。

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