住宅地の密度規制と居住環境

住宅地区の密度に関する規制の手法として、従来の建築基準法の規定には、用途地域制に基づく建ぺい率制限と高さの制限、住居地域に対する空地地区制の制限、さらに容積地区制などがあり、旧特別都市計画法には緑地地域の制限がありました。これらは、いずれも敷地面積に対する建築面積あるいは延建築面積の限度を現定することにより、地区全体としての高密化に一定の枠をはめようとするものです。しかし、このような規定は、個々の敷地の純密度を規制することはできますが、地区全体の密度をきめることはできません。特に最近のように、一戸の住宅の敷地面積や建築面債が次第に小さくなってくると、戸数密度や人口密度という形の地区の総密度は全然決まってきません。

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住居地域一種空地地区は従来の基準法ではもっともきびしい規定ですが、道路率が15%とすれば、地区の総容積率の限界は17%です。しかし住宅の平均規模が50平米であれば、総戸数密度は34.0戸/haとなり、平均規模が35平米であれば48.6戸/ha、いわゆる木造アパート形式で一戸の平均規模が16.5平米位であれば、戸数密度は100戸/haにも達するというよに大きな幅が出てきます。
住宅地の総人口密度が200人/ha以上の地区は問題のある地区であり、さらに300人/ha以上の地区は、居住環境という観点からみれば危険地域であると指摘していますが、従来の建築基準法の規定では、違法な建築によっても、この密度を容易に上まわってしまいます。住居地域、準防火地裁に35平米の平家独立住宅を建設する場合を考えてみると、建ぺい率の制限一杯を考えれば、敷地は58.3平米で足ります。この地区の道路率を25%、公園用地率・一般建築用地率を15%とすれば、地区の総戸数密度は約103戸/haとなり、1戸の平均世帯人員を3人としても約310人/haとなり、危険地域となってしまいます。木造アパートについて同様な試算を行なった結果では、総戸数密度490戸/ha、総人口密度で1,200人/ha強というきわめて高密な住居地域が、適法かつ適法な道路率・公園用地率・一般建築用地率のもとにおいて可能であることがわかります。
このように、適法な範囲内において予測される市街化完了時点における戸数密度、人口密度に非常に大きな幅があることは、地域における施設整備のうえで大きな問題となります。住宅公団が区画整理を行なった常盤平地区において、公団が当初民有地の市街化形態として、独立住宅を考えていたのに、実際には木造アパートを中心とした市街化が起こり、このため、将来における地区の総人口が、上下水道、小中学校等の公共施設の規模算定に用いた数値をはるかに上まわることが予測され、問題となっているのは、このような例の一つです。高密度化を具体的に規制する方法としては、住宅形式・建築形式を限定した地域制をもうけること。最小限画地の規定をもうげること、という二つの方法が考えられます。前者は、一戸建住宅地域あるいはアパート式住宅地域などのように、住宅の建築形式をきめた地域制であり、アメリカの地域制などでは一般的に用いられている方法です。日本の地域判の中では、旧特別都市計画法の中の緑地地域制が、許容する住宅建築物を一戸建または二戸建の住宅に限定していたのが唯一の例です。前にのべたように、一戸建住宅でも、適法の範囲内でかなり高い密度の住宅地が形成されますが、木造アパート形式などによる予想もつかぬ高密度化などを防ぐことはできます。後者の最小限画地の規定は、アメリカなどで行なわれているるように、一戸建住居地域などの建築形式の制限と併用すると、地区の総密度の限界を明確に規定することができます。日本でも、住居地域の建ぺい率制限が、敷地面積から30平米をひいたものの60%となっていることは、一種の最小限画地の考え方であるといえます。建築基準法の方向として、最小限画地の考え方を導入しようとし検討されていましたが、現在の都市住宅の敷地面積、あるいは分譲宅地の画地面積が地価高騰の影響で、次第に零細規模になっている現状にてらしてみれば、この最小限画地規定の導入はきわめて困難です。

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