居住環境悪化の防止と土地利用

居住環境の悪化を土地利用規制の手法によって防止することは、近代的住宅問題が起こってきた当初にすでに行なわれたことでした。というよりも、土地利用規制という都市計画手法自体が、都市における不良な居住環境の発生を防止し、良好な居住環境を縦持するために創出されたといえます。イギリスにおける住居および都市計画法上日本における市街地建築物法の地域制の規定は、そのような意図をもってもうけられたといえます。居住環境の悪化とはどのような事態を指し、どのような要因によってもたらされるのででしょうか。また、土地利用計画はどのようにして居住環境の悪化を防止しうるのでしょうか。居住環境悪化の要因について次のものがあげられています。
人為的定常的要因(媒煙、粉塵、悪臭、有毒ガス、汚水、廃液、騒音、病菌、視線、風紀、不決な景観)
人為的突発的要因(爆発、感電、落下物、墜落,家屋崩壊、交通事故、放射能、犯罪、伝染病菌)
自然的定常的要因(光、紫外線不足、不快光線、不快暑気、寒波、不快湿度、潮風、悪水、多雨、湿潤、湛水、塵埃)
自然的突発的要因(台風、強風、濃霧、砂塵、水害、雪害、地すべり、崖崩、地震、落雷)
その他要因(スモッグ、地盤沈下、延焼火災、避難障害)
このように、様々な要因によってひき起こされる居住環境悪化のすべてが、土地利用計画によって防止できるわけではありません。また、土地利用計画の樹立と実現によって防止できるものについても、すべてが同じような手法で行なえるものでもありません。

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土地

このような観点にたって居住環境悪化の要因を考えてみると次のように分類できます。
都市の立地に起因するもの。主として気候風土による居住環境悪化がこれにあたり、悪化要因の中でスケールで都市の立地を計画するのでないかぎり、土地利用計画的手法では防止できません。
都市内における住宅地の自然的、社会的立地に起因するもの。地質、地盤のような自然条件、スモッグ、地盤沈下のような広域的公害要因、高潮、洪水などの災害危険などがこの種の居住環境悪化要因としてあげられます。このような居住環境悪化を防止するためには、都市的スケールでの土地利用計画、つまり都市の中での住宅地、商業地、工業地というような機能の組立計画が重要です。また、公害、災害の危険防止という点では、このような危険のある地域における住宅立地の禁止を行なうような土地利用規制が必要です。
地区内の施設整備条件に起因するもの。住宅地区内の居住環境に関係のある諸施設の整備の程度が居住環境を規定します。つまり、上下水道、道路、小中学校などの建築的施設、公園などの整備度と住宅地化の進展とが合致していないと、居住環境は阻害されます。土地利用計画とのかかわりあいとしてこの問題を考えると、これらの施設整備が地方公共団体の負担で行なわれるのに対して、住宅地の建設は民間の手によって行なわれる場合が多く、この両者の進展度の食違いが問題です。つまり、異なった事業主体によって行なわれる住宅建設のプログラムと施設整備のプログラムを合致させる機能が土地利用計画に要請されるのです。
地区内部における建築活動に起因するもの。地区としての住宅地の質を規定する最大のものは、何といっても地区内における建築活動の様相です。居住環境を悪化させるような地区内の建築活動を細分すれば、次のように分類できるます。
建築密度の高密化。地区全体の建築密度が高くなることによって、日照、通風の悪化、延焼危険の増大などの問題がひき起こされます。さらに、建築密度の増大は、必然的に人口密度増大をもたらすために、これに伴う障害も起こってきます。
建物用途の混合。住宅地にふさわしくない用途の建物が混在することにより、住宅地の居住環境は阻害され、様々な局地的公害がもたらされます。例えば、工場の騒音、振動、粉塵、臭気、有毒ガスはその典型であり、早くから注目されていました。その他、風俗営業施設の風紀上の問題、ガソリンスタンド、倉庫等の爆発や火災の危険、さらには、最近の住宅地の外延により住宅地と農業地域が混在するようになり、畜舎の臭気、不衛生なども新しい局地的公害として問題となるようになりました。
建物の相隣関係。主として隣接する建物の相互の位置関係から起こってくる居住環境の悪化があります。日照権裁判としてとりあげられています。南側の隣接建物による日陰の問題、あるいは隣接建物よりの視線によるプライバシーの侵害の問題などが、この分類に含まれます。もちろん、この問題は地区全体の高密化の問題に伴っても起こってきますが、いままでの事例としては、むしろ従来好ましい居住環境がたもたれていた地区において問題となるケースが多い。
建物の単体の質に起因するもの。建物単体の質の悪化は多くの場合、以上にのべた他の要因と重なりあって起こってくる場合が多く、特に地区全体の高密化に伴って起こってきます。単体の質の悪化は、それだけでは土地利用計画上の問題ではなく、建築基準法でいえば単体規定の問題です。
以上のべてきたような、地区内部の建築活動に起因する居住環境の悪化を防止する土地利用計画的な方法として、建築物の集団規制があります。

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