住宅地の立地条件

広域的土地利用で考慮しなければならない住宅地の立地条件としては次のようなものがあげられます。上水道水源が容易に得られるかどうか、雨水、汚水の排水先河川に流量の余裕があるかなどの問題です。例えば神奈川県の第3次総合開発計画では、計画人口の上限、したがって開発可能な住宅地の量は、県内で開発できる水資源の量でおさえられています。また同じく神奈川県の鶴見川、柏尾川等の中小河川は、下流部が完全に市街化し、改良の余地が少ないため、上流部で住宅地開発を行ない、流出係数を増大させることはきわめて危険であり、この面から上流部の住宅地化には限度をもうけなければならないとされています。もちろんこれらの立地条件とても絶対不変のものではなく、上水道水源は隣接県との水利権の調整で拡大が可能で、海水真水化も有り得ます。また、排水河川も放水路建設などにより改良は物理的に可能ですが、住宅地内部の整備の問題ではなく、都市圏全体の計画課題です。したがって土地利用計向にあたって、住宅地の立地要求として十分な検討をすることが必要です。

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土地

住宅地と職場をつなぐ大量輸送機関が整備されているかどうか、あるいは整備可能かどうか。住宅地開発に伴って鉄道の整備を行なった事例としては、千里ニュータウン、東急田園都市などがあり、多摩ニュータウンでも2本の鉄道が建設されました。これらは、いずれも都市全体の交通輸送系統の計画の一環として考えなければならないものです。したがって、大量輸送機関の計画と、住宅地の立地要求とは、広域土地利用計画において十分調整しておかなければなりません。
公害および災害危険の有無、洪水、地すべり、高潮等の危険。隣接土地利用や、都市気象により生じるスモッグ、降下煤塵、あるいはジェット機騒音などの広域公害要因の有無。
自然案件、住宅地化のコストに著しい影響があるか、または住宅地化を不可能にするような極端な自然条件、例えば急峻な地形、極端な軟弱地盤など。
既存土地利用との競合、例えば優良農地の保全、保護、あるいは利用すべき自然景観、支化財、歴史的風土など。
土地利用相互の依存と排反の関係。
このように、都市の土地利用計画の段階で考えるべき住宅地の立地要求は、広域公害要因、災害危険要因、ある種の自然条件、および既存の保全すべき土地利用というような住宅の立地を禁止または制限しなければならない条件、交通機関、供給処理施設、河川などの都市の根幹的施設の整備状況、計画と調整をはかる問題、住宅地と他の土地利用集団との相互関係などにしぼられてきます。これは土地利用計画が都市圏段階の機能組立計画的なものと、その機能内部構成計画的なものにわかれると考えれば当然のことです。このような場合、住宅地は一定のまとまりをもった集団として扱う必要があります。従来は、それは近隣住区でしたが、最近の考え方ではさらに大きな単位で考えられるようになっています。計画実現の手段という点から考えると、住宅地の立地を禁止または制限する方法については従来は開発規制が中心でした。従来の土地利用を守るという観点のものとしては、首都圏近郊緑地保全法、自然公園法などの自然景観の保存、古都保存法、文化財保護法などの歴史遺産保存に関するもの、農地法、土地改良法等の優良農地の保全に関するものなどの開発規制制度がありました。災害危険、公害から住宅地を守る立場のものとしては、宅地造成事業法、公害基本法などがあります。これらは土地利用計画の立場からすれば消極的できわめて弱い制度です。都市の土地需給関係から、民間、公共を問わず宅地開発の圧力はきわめて強く、かつ遠方にまで及んでおり、土地を買収し、住宅以外の利用に開発し保存してゆくという積極的な対策なしには、既存土地利用の保全も,住宅地の安全と衛上の保持も困難です。騒昔がひどく航空機墜落の危険の大きい、およそ住宅地としての立地案件のない基地周辺の土地が、地価が安いということだけで次第に住宅化していく実情は、単なる土地利用規制の問題をこえているといわなければなりません。
交通機関、供給処理施設、河川等と土地利用との調整は、従来は土地利用に従って諸施設の規模を決めるというやり方でした。しかし、地方自治体、国などの財政能力などからみれば、公共が整備できる範囲をあらかじめ定めておいて、これに応じて土地利用をきめてゆく必要があります。この点は、宅地審議会の土地利用部会でしばしば議論されながら、答申や法案にははっきりした形でもりこまれていません。特に上記のような施設では、一系統に依存できる住宅地の規模は限度があり、これにより方面別に住宅地化の量をおさえなければなりません。

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