スプロール規制と都市計画法

スプロールに対処する土地利用計画的手法として、市街地の無制限な外延を抑えるために、都市周辺に市街化を抑制する地域を設定するこは、1924年のアムステルダム万国都市計画会議が打ち出した大都市圏計画の基本方針の中にすでに示されていました。その後イギリスにおいては、グリーンベルト・アクトにより非市街化地域としての緑地帯が制度化され、ロンドンやその他の大都市地域に設定されています。アメリカではロセンゼルス市の農業地域制が都市計画の地域地区制の一つとして認められており、さらに農業専用地域制や、開発権の買収による市街化の規制もカリフォルニア州では考えられていました。日本でも、戦前の東京緑地計画協議会の東京環状緑地計画や、戦時下の防空空地帯などは、この考え方の一つのあらわれでした。さらに、戦後の特別都市計画法に基づく緑地地域の指定は、不完全ながら地域制として法制化された最初のものとなりましたが、特別都市計画法の廃止によって新しい指定は行なわれなくなり、違反建築の続出によって実際上も効果を失いました。首都開整備法によって、本格的緑地帯構想として近郊地帯の指定が行なわれるはずでしたが、結局、40年の法改正で緑地帯構想が廃棄されるまで、ついに陽の目をみませんでした。

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土地

大都市局辺のますます悪化しつつあるスプロールを規制する新しい制度を作るために、昭和39年8月、宅地審議会に対して、都市地域における土地利用計画の合理化をはかるための対策についての諮問が行なわれました。さらに、41年2月宅地審議会の中に土地利用部会がもうけられ、具体的に地域の区分、規制の手法、公共施設の整備との関連等について議論が重ねられ、42年3月答申が行なわれました。その内容をもり込んだ新都市計画法は43年6月に成立しました。都市計画法では、都市計画区域の中に市街化を促進する市街化区域と、当面市街化を抑制して大規模開発のみを許容する市街化調整区域とを指定すること、これらの地域における規制の方法として開発計可制度が導入されました。
都市計画法にもり込まれたこれらの制度は、宅地審議会の答申よりも後退したものであり、土地利用部会で議論されていたものにくらべれば、大幅に異なったものとなっていました。宅地審議会の答申は、地域区分では既成市街地、市街化区域、市街化調整区域、保存地域の4区分になっており、開発許可制度も法律に制定された主として建築物の建築の用に供する目的でおこなう土地の区画形質の変更という規定よりも広く、建築行為も含んでいました。また土地利用部会の論議の中では、開発保留地域という地城区分がありました。また、土地利用部会の議論の中では公共施設の整備責任が重要視されました。つまり市街化区域では、国および地方公共団体が、下水、道路などの幹線的施設について先行投資的に整備を行なう責任を負い、また、その責任を負える範囲についてのみ市街化区域に指定すべきこと、調整区域については、開発許可を受けたものが幹線的施設まで含めて整備の責任を負うべきことなどが論じられ、答申にもその考え方が反映していました。しかし、制定された法律の中ではこの点はかなりあいまいにされてしまっていました。このように不十分な点を残しながらも、市街化区域と市街化調整区域という新しい地域区分の概念と、開発許可制度を導入したことによってスプロールの防止は可能になったかは今後の法の運用の問題といえますが、幾つかの問題点をあげれば次のようであす。まず、市街化区域と市街化調整区域の範囲のとり方の問題です。市街化区域を過大にとれば、全面的な公共施設の整備は困難となり、開発許可不要の小規模開発により、スプロールが起きる可能性が強く、逆に狭くとれば、市街化区域内の土地に独占的傾向を生じ、地価の高騰がさけられません。区域指定の問題は、土地需要量の正しい推計と、それに応じた市街化区域の適正な指定という都市計画技術的問題の他に、首都圏整備法による近郊地域の指定がそうであったように、大都市周辺の地主、開発業者等の利害にからんだ政治的問題とならざるをえません。
第2には、市街化区域内の土地の市街化促進の手法がないことです。考えられている手法は空閑地税の創設、固定資産税の運用など、土地税制により市街化を促進する方法と農地法の制約を解除することなどですが、これらの土地税制は早急な解決は望めず、農地法の制約の解除もどれだげ市街化促進に有効であるかは疑問が残ります。一方で市街化調整区域においては、大規模開発を行なうことのできる大資本の独占傾向が生じ、全体としての住宅地の土地需給は現在以上に困難になることが予想されます。この意味でも、公共による住地開発の重要性が増大したといえます。
第3には建築基準法との関係です。市街化区域の中における開発許可不要の開発および建築行為の規制は建築基準法の運用にゆだねられます。また、市街化区域の範囲がかなり大きくとられるようなことになれば、新しい市街化規制のための、あるいは市街化の方向づけを保留するような地域制の創設も基準法の問題となります。建築基準法の改正にあたっては、いままで、一つ一つの宅地に対しての建築物の形態、用途を規制していたものを、もう少しまとめて、地区計画のような形で計画、承認する方法が検討されたのも、開発許可制度といままでの建築規制との間を埋めようとする考え方でした。市街化調整区域と農業の関係も残された問題です。
全体として、都市計画法によってスプロールの防止ができるような広域土地利用計画が可能かどうかは未知数であり、今後の都市計画技術の発展、行財政制度の整備に残された面が多く、特にスプロールの防止は、都市計画法の地域区分、開発許可制度、建築基準法の地域地区制というような規制手法だげでなく、積極的な宅地開発、整備、地区計画などとあわせて行なう必要があります。

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