スプロール防止と広域土地利用

スプロールという言葉は、すでに都市計画の術語としてだけではなく、一般用語としても十分通用するようになってきていますが、その言葉の意味することろは必ずしも明確ではありません。一般的に、スプロールは、都市的土地利用が未開発で、農業的土地利用と混在している状態を指しており、全体として無計画であり、かつ低密度であることが特徴となっています。スプロールは三つの型に分類しているとされており、低密度の連続した開発と、リボン・ディベロプメントと、散在型スプロールです。そしてスプロールは都市発展の時間的経過の中の一つの形であり、その継続期間が問題になるにしても、いずれはコンパクトな市街地が形成されるものとされています。諸外国の文献でみるかぎり、スプロールは決して低質な住宅地開発ではありません。

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日本のスプロールは、これとはかなり異なった様相をもっています。その特徴はスプロール地域の総密度の低さにもかかわらず、開発されている部分の密度がきわめて高く、かつ建設されている住宅建築の質がきわめて低いことです。開発途上においては、低密度であり、都市施設が不備ですが、1950年代のスプロールが、1960年代には非常に好ましいコンパクトな都市地域になるというような性質のものを良質スプロールとすれば、日本のそれは現在は総密度の低さに救われていますが、将来は眼にあまる悪化地域になるおそれのある悪性スプロールであるといえます。
スプロールの問題点は幾つかあげられます。第1は、低密度、無計画な開発であるために、諸施設の整備が困難であり、整備コストが割高につくことです。第2には、低密度開発のため市街化地域が不当に大きな広がりをもつようになることです。このことは遠距離通勤をひきおこし、さらに都市周辺の農耕地を不当に多く潰廃し、あるいは生産性を低下させます。第3に、無計画な市街化は、最終的には、形成される住宅地を無秩序な居住環境の悪いものにするおそれがあります。
スプロールをひき起こす要因について、指摘されている点は次のようなものです。多くの開発業者が相互に関連なく同一の地域で開発にのり出すこと、土地の投機的保有、投機的開発、物理的・経済的に開発不適な土地の存在、アンバランスな土地利用規則により市街化の傾向がゆがめられること、高速道路などにより都市周辺に広域にわたって住宅地化のポテンシャルが生じたこと、開発業者および地主に対する課税が短期間の連続的な土地売買および開発にとって不利なこと、住宅需要者が必ずしもスプロールを苦にせず、スプロールは嗜好にあった立地選定の結果ともいえることなどです。
これらの要因のかなりな部分は、日本のスプロールの要因としてもあてはまるものです。例えば悪性スプロールの多くは、中小規模の宅地分譲業者、建売住宅業者の活動によるものである点、土地譲渡所得に対する課税方式が、土地所有者の売り控えの一因となっている点、農民の離農過程が、土地の少量ずつの手ばなしの形をとらせていること、開発業者・大資本が土地投機を広汎に行なっていることなどです。しかし、特殊日本的な要因もあります。住宅需要者はスプロールを好んでいるのではなくて、支払いうる地価と現実の市街地地価との矛盾からやむをえず、スプロール地域に押し出されたものであることや、また、都市周辺地域の農地がきわめて零細に細分化された所有形態になっているのも特有な要因です。
日本の土地利用規制についていえば、大都市周辺地域では、用途地域指定地域の外側が、ほとんど規制のない未指定地域になっており、無計画、無秩序な市街地の外延を許容していることが最大の問題です。また、規制の実効性を保障するような行政的体制、すなわち規制を実施していく指導、取りしまり体制、計画にあわせて生活環境諸施設を整備し、住宅地化を誘導してゆく体制、計画的かつ大量に公共による住宅と土地の供給を行ない、個別的な市街化圧力を減らしてゆくような対策などが十分に行なわれていませんでした。

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