都市整備の方向と再開発

日本の都市問題の大きな要素の一つとして、都市の公共施設の整備と民間企業の投資とのアンバランスがあると指摘されています。東京を例にとっても、国際水準で見ても全く問題にならないほど低く、全国平均、あるいは都市内の他の施設からの推定値と比較しても、いずれも低い値です。このような実情は、いまさら多弁を要しないほど、住民は肌で感じています。また東京の災害に対する無防備ぶりはひどいもので、関東大震災級の災害があった場合には、江東デルタ地帯では住民の約半数が死亡するかもしれないと報告されています。都市の生活は、所得の向上に伴って逐次豊かになりつつありますが、それに合わせて行政需要が増大すると同時に、地域的な機能の変化等、都市の体質改善に対する要求が強く、このような都市の改善を図るうえで、都市再開発は非常に重要な役割を果たすことになりますが、その改善の要求の方向を見ると、公共施設の整備と、災警の防止、住宅の改善の三つがありますが、それに対して、公共団体が直接行なわねばならない分野としては、災害防止と住宅の改善の一部と、公共施設の整備の分担です。都市再開発事業は、既存の施設のあるところでの事業であるため、それほど大規模な事業は困難であり、また資金的に無理があります。現在の再開発事業はこのように、その背景から局地的な事業となりますが、諸外国の事業のように規模の大きいものにするためには、都市全体をどのようにするかの明確な方針が樹立されて、それによる年次計画が認められるような体系化が進まないと、局地事業であるだけに、相互矛盾を発生するような姿になりやすい要素を含んでいます。

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土地

都市再開発が、先に述べた都市の整備に大きな役割を果たしてゆくには、公共団体のみの事業では限界があるため、主要な体質改善を図る重要施設の投資に主眼を置いて、民間企業が魅力を感じるような環境を醸成するような施策が必要になります。その意味からすれば、再開発では、外国で見るような住宅中心ではなく、公共施設中心の方策が主要な地位を占めるようになるはずです。
都市再開発の手法として用いられている法律は、土地区画整理法、防災街区造成法、市街地改造法、住宅地区改良法があります。それらは個々に利点、欠点をもっているので、問題になる点をあげてみると、土地区画整理法では都市周辺部において適用する場合には、地価の上昇が相当に期侍できるので、今後も都市開発の主要な道具として活用されるでしょうが、都市内部においては、土地の細分化を促進し、さらに零細宅地を発生させ、細街路が多くなって、将来の共同ビル建設の支障になるとともに、地価の上昇があまり期待できないので、保留滅歩がとれず、滅歩率もあまり高くできないので、僅かな公共用地を捻出するに広汎な地域の建物を移転させなければなりません。そのため今後は都市再開発ではあまり利用されないでしょうが、この思想は受益者負担制度であるため、形を変えて適用されることになるか、あるいは他の手法と併用されることもあると思われます。
防災街区造成法の一番の欠点は、全員の賛同が得られなければ実施できないために、一般に見られるように歯ぬけのような不揃いの状態を呈します。また法は面開発を意図していますが、表宅地と裏面宅地では大きな落差があり、また利害の一致もみにくいので、どうしても路線的な開発になりやすい。また融資制度が中心であるため、採算性が重視され、商業地が中心になっています。融資が個人の債務であるから、建物の形式は共同であっても、姿は既存の宅地割をそのまま表現したものになってしまいます。それだけに、土地、建物が同一所有である中小都市の中心地には適用しやすい利点をもっています。
市街地改造法では公共用地を取得するために、一部の建物を取り壊して新しい建物をつくり、そこに人を入れることになりますが、土地が共有になり、底地権者も借地権者も同じような所有関係に整理されるために、地主は土地が滅って建物をもらうための不安があり、借地権者は土地を共有するための持出しがあるので、なかなか調整がつきにくい。また公共団体が一旦、土地、建物を買収するとともに、新しい建物を建設するし、工事期間中の営業補償も含まれるので、収支を合わせるためには、既存の建物補償のように、事業後に価値をもたぬものまで新しい建物の再開発利益で補填しなければならないため、よほど開発利益の大きいところで、僅かな面積しかできない欠点があります。しかし、都市の将来の利用の点から好ましくない用途のものはある程度駆逐できるので、都市改造の点からは好ましい手法です。
住宅地区改良法では不良住宅が対象であるため、荒廃した住宅の密集している地区しか適用できないので、一般的手法とはなりえませんが、諸外国ではこの不良住宅改良法が、都市再開発を公共団体が介在して行なう場合のほとんどです。むしろ将来の方向としては、この事業が中心になってくるはずです。現在の法制は、都市のある部分に通用するには、特に効果を発揮するものもありますが、全体的に適用するほどまとまりも良く、しかも適切なものはありません。なぜ日本の都市再開発がこのような状態にあるかといえば、都市再開発の目的が明確にされていない点にあると思われます。何のために再開発が必要なのか、そして都市をどのようにするための事業であるかの位置づけができていないために、再開発適法はいたずらに小手先の手法を中心とした法律になっています。公共団体が介在して都市再開発を行なうのであれば、当然そこに強制権が付随するので、公共の目的を明確にすると同時に、地区の将来の姿を呈示するようにして、しかる後に手法の問題が論議されなければならないのに、建設数の方が先にきているところに日本の再開発の一番の欠点があります。

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