空間利用と開発価値

都市の立体化が進むに従って、今まで平面的に考えていた土地に対して、空間に価値があるものを利用しないでいる場合には、その価値を買い取ってはどうかという考え方が生まれてきました。その表れの一つとしては、日本住宅公団の市街地住宅があり、また立体換地といわれる手法も、今まで平面的にもっていた財産権を空中に換地して、空間価値を認めようとしています。またマンションの分譲においても、その生活価値に相当する価値で底地の持ち分を配分して、共有にするようにしています。このように、都市の立体化が進むにつれて、空間価値の明確な算定が必要になってきています。これまでは、余り空間価値に対しては関心が払われていなくて、事務所にしても、1階と地階を別の価格にする程度で、他は同一の価格にしている場合が多くありました。しかし高層ビルができるようになると、このように一律的な配分では不十分になってきました。また、商業施設についても立体的な経営が行なわれるようになってきたので、その立体的な価値配分が必要になってきています。

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土地

住宅の場合について、都営住宅入居決定者に対する希望階数調査を行なった結果では、接近性を要求する人と、居住性を要求する人の数が大体同じ数であり、大体同じ程度の要求であると見ることができます。すると、高さの係数で逓滅される分が居住性でプラスされるので、5階建程度の範囲では、とくに差を設けるほどのこともないといえます。ただ、エレベーターにより接近の逓滅率が緩和されるようになると、上階ほど価値が高くなってきます。この傾向はマンションで見られます。
日本の都市は平面的に広がった都市であるので、空間利用を促進する必要があるとよくいわれ、都市再開発のねらいの一つに、この高度利用があげられています。特に今までの土地利用度より高い利用度にすることによって、開発利益を多く取得しようとしています。その場合に、生活価値の面から考えると、高さによって価値の逓滅率の高い商業施設は、できるだけ逓滅率を小さくするよう計画上考慮しなければならないために一番難しい。それに対して、住宅や事務所は、上部へのアプローチが十分であれば、空間価値そのものは周囲の環境条件によって支配される居住性が重要になってきます。このように、建物用途によって、その空間価値を高めてゆくために、計画上でとくに注意しなければならない点が異なってきます。まず第一に商業施設、特に再開発事業が活発に行なわれている小売中心商店街の場合を考えてみると、人の動線を計画上左右できる範囲はきわめて小さく、ある程度順応的に行なわねばなりません。2階部分を店舗群にするとしても、ただ階段を設け、2階に上がってくださいといっても、それではお客は流れません。そこに上がる理由が別になければ、2階に人を流すことはできません。商店街を重層にするためには大量輸送機関の駅のレペルが2階であることが重要です。また地階の場合でも、地下鉄がなければそれほど繁栄しません。次に重要なのは上下の通路、つまり階段、エスカレーターの位置の問題です。人の流れの波が自然に吸い込まれるような位置にある場合には、自然と上下の価値を高めますが、それによって1階で一番大切な部分を犠牲にしなければならなてために、上部の床の価値の上昇と、この儀牲とがどのようにバランスしているかを検討しなければなりません。また、上下の通路が1カ所であれば、ちょうど袋路に入るような姿になるので好ましくなく、人が流れるようなルート設計をしなければなりません。また上部の場合には、上に高店街があるという印象を下を歩く人に与えるような計画が必要です。
このように、空間利用を図ろうとすると、今までその地域にはなかった新しい動線をつくることになり、そのために、1階平面の上で共通の部分の提供を行なわなければなりません。また、上下で建物の所有権が異なる場合が生じるので、土地そのものが従前の権利そのままであれば、このような開発が困難となり、また今まで一番有利な地点に土地を所有していた人達に、その部分が上下の動線の重要な位置に当たる場合が多いので、どうしても移転させるようなことになります。それだけに地元の人たちの理解があって、順送りに、今まで最高の位置に居た人達を事業後も最高の位置に移すようにしなければなりません。この換地計画を正確に行なうことが大切です。
また階層によって適合した用途があって、3階に食料品店をもってきても繁栄しません。やはり、階数が上がるに従って客の滞留時間の長い業種を配列しなければならないので、再開発を境に業種の再編制も考えておく必要があります。高度利用を図るには、このように従前の姿に余りとらわれずに、その地区に最適と思われるものを求めて、現実との調整を図るようにしなければなりませんが、それには権利の調整を十分のみ込んで行なうことが肝要です。これによって計画が生かされもするし、また死んだ机上のものになってもしまうので、計画できる範囲を知ると同時に、計画の裏付けとなる調査を十分にしておく必要があります。

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