都市再開発と業務施設

業務施設は都市をリードする施設であるだけに、地価負担力が他の施設に比して大きい。それだけに、業務施設は他の施設を駆逐して拡大します。しかし、他の土地を積極的に買収することも多いのですが、その反面、需要におされて僅かな土地に高層の建築を建てる場合も多い。過去からの資料を見ると、東京区部で新築された耐火構造の建物のうち、建築延面積が600平米以下のものが全体の7割以上を占め、比率のうえでも増加の傾向にあります。建物が5階であり、しかも各階の面積が均一であることを考えると、敷地は僅かに120平米以下という零細なものになっています。これでは、駐車場設備ももたず、ほとんど公共施設に頼ることにならざるをえないので、ますます公共用地が必要とされてきます。このように、利用率の高い業務施設が、小さな敷地に蝋燭のごとく乱立すれば、公共施設が不足して、都市の混乱はますます助長されるおそれがあります。しかし、これを積極的に防止するような方策はなく、ビルの建設者の良識にまたねばならない状態です。再開発の法制の適用は、この種の施設に対しては全く行なわれておらず、一部の業者が、企業的な採算の面から、利用効率を考えて、一部の地主と共同してビルを建設している場合がありますが、大多数は単独的事業になっています。今日の都市の姿は、区画整理を中心にして開発されているので、今までの宅地割に対するブロック割が大きいために生じる裏宅地の解消に積極的で、ブロック単仕が小さくなり、また宅地も次第に小さくなっていっています。それに対して、今までの用途、構造と異なる業務施設が入ってくると、このブロック割、宅地割が、建物の形態、利用度の面で好ましくないものになっていながら、隣地等の買収に日時を要したり、また法外な要求があったりして、民間の企業側で考えるものにはなりにくい面があります。しかし、これに対して強制権をもつような手法を押しつけることになると、逆に零細な人達を圧迫するようなことになるので、社会的な尺度から考えると好ましくないものと思われます。現実的矛盾を放置していて遺恨を残すことは、決して良い方向とはいえないので、地域に対する将来像を公共団体で策定し、皆が協力して、その姿になるような努力ができるような指導性を発揮でぎる案件を整えることが必要です。それには、計画案を作成するための基本的条件がまず認められて、それが各地区にどのような分担をしてもらうかを明示し、その計画案が地元の権利者だけではなく、一般からも支持されるようなものにならなければなりません。一番力の強いものであるだけに、運用を誤ると社会的に大きなマイナスを生じるおそれがあります。このように、業務施設に対する再開発は、マスタープランのように、市民の支持を得た案を基礎にして、指導する方向で法体系がつくられなければなりません。

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土地

都市には様々な機能の施設がありますが、これらは土地利用の場合と同じように、地上の建物が全部同じ用途のものだけではなく、併用の形式のものが多くあります。都市が立体化すればするほど、併用の傾向は一層促進されます。例えば住宅公団の市街地住宅のように、施設部分の上に積極的に住宅を乗せる方法が考えられたり、また駅ビルのように、交通施設の上に商業施設が乗るような場合もあります。多くの都市に対する提案では、交通動線を建物に取り込んだようなものが多くあります。このように、建築物が単機能的なものではなく、複合機能化すると同時に、建築のスケールも次第に大規模化してきています。都市再開発においては、好むと好まざるとを問わず、次第に複合施設の建設が多くなってきます。複合施設にすることが、再開発を促進するための一つの計画手段として利用されるようになるでしょうが、この際に一番注意しなければならないことは、施設相互の利害が必ずしも一致するとはいえず、一般的には対立する場合が多いことです。先に例としてあげた住宅公団のような場合には、上部の住宅を建設することによって、施設部の建築費を念出することになるため、住宅専用の階段およびエレベーター等の位置や、柱割に対しての発言が割合強くなってくるのですが、住宅そのものを取り囲む条件の選択については、申し込みの量の大小によって多少異なります。このように、複合施設の場合には、その力関係によって計画が支配されることが多いので、一部には多少の不便、不合理な計画をせざるをえない点が生じてきます。
この点の改善として、立体的に区画し、明確にそれぞれの機能を分離するために、人工地盤の発想がありますが、下を駐車場的に利用する部分が多く、商店街としては好ましいものとはいえません。アメリカのハードフォードの例でも、駐車場として利用しており、地下にすべき施設をそのまま持ち上げたような形式になっていて、機能を分離するところまではいっていません。将来のことを考えても、完全な人工地盤となると、地下埋設施設を持ち上げたようなものになったり、また、歩道を立体化した形式による同一機能の高層化を助けるようなものになります。
そこで複合化の目的は、単独の場合に比して、どこかに矛盾を発生することもあるので、何か別の利益がないかぎり、これを促進する理由はありません。そのための動機となるものは、交通施設の改善を中心に、その立地上の利益を享受しようとするものと、資金的援助を期待するもの、さらにスケールの大きさから復合化せざるをえないものとに分けることができます。この第三の利点は,地価負担を軽減して、むしろ地価の一部を建物に置換する方式で、一般の再開発の手法は、これをねらっています。これからの方向としては、住宅が一つの原動力となって、資金的な面ばかりではなく、税金の面でも特別の措置を講じるようになるものと思われるので、魅力あるものになり、これが復合化の方向へ都市を誘導することが考えられます。

土地
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