交通の混乱と公共施設

都市の中で最も重要な施設の一つとして交通施設があります。私達の生活を考える場合に、ある行動を行なうためには、どうしても人の移動、物の移動がついて回ります。この移動を支えるものが交通施設です。日本の都市が外国の都市と比較して非常に劣っている面として、よく交通の施設があげられます。その中心である道路についてみると、東京では市民1人当りの道路面積が10平米にも満ちません。欧州で割合高密度で、しかも古い建物の多いアムステルダムを見ても、市民1人当り19平米と東京の約2倍の画積をもっています。運河をも含めた広さの感じからすると、東京の比ではありません。自動車の普及率の高いシカゴの状態を見ると、37平米程度で、東京の約4倍の面積になります。シカゴはアメリカでも余り道路の広い都市ではないことを考えると、条件の悪いところと比較してみても、日本の都市がいかに道路面積が狭いかがうかがえます。

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道路の整備は非常にお金のかかるもので、事業費のうち補償費が全体の94%に達している場合もあり、東京区部では80%を越えるのが常識になっています。交通施設が不足している実態と、建設に金がかかりすぎるという困難が深刻な交通問題を発生させていますが、これを解決するには、両者を組み合わせて再開発事業にするような手法が望まれます。補償を滅らすことはできないが、これが直接別な利益を生み、市民生活にプラスになるような誘導が望まれます。東京では主要幹線道路の整備もできないありさまであり、補助幹線のような地区内交通の主要な役割を演じる道路の整備は、全く手がつけられていない実情です。これから、都市の機能変化に伴って、地区内交通の整備を図り、幹線にかかっている荷重をいくぶんなりとも緩和することが望まれます。このような地区幹線は、特に建物との結びつきが強くなる点を考えると、これからの再開発の一つの方向としては、公共施設の整備が一つの要因となって、再開発を促進することも十分に考えられるので、再開発に対する需要も今後増加してくると思われます。
都市部人口と全国人口との比を見ると、大正9年には18.1%であったものが、昭和40年の国勢調査を見ると、68.1%に上昇し、今日では70%を越えていると考えられます。これらの傾向をみると明らかなように、都心部に近いところでは、密度が低下して内部変動を生じてきていますが、周辺にゆくに従って人口密度の増加があることは、都市内部に住みたい人がやはり相当数いることを物語っています。しかし、土地利用その他の影響によって、人口が増加しきれないうらみがあり、特に東京の平均指数が1.7倍である事実、また、人口密度がグロス平均ではありますが230人/ha程度の諸外国に比して低い値であることを考えると、建物を改善することによって、都市内部にまだ人を住まわす余地があることが判ります。しかし、これは家賃その他の制約を受けて、大都市周辺部ほど容易に居住地を確保することができないことにより、希望があっても、都市内部に住めない実情もあります。これらの点から、各政党は都市内の住宅の整備を中心にした都市再開発を提唱していますが、これはやはりいつわらざる国民の希望であると見ることができます。この点を克服すべき具体的な政策は提示されていませんが、将来の都市再開発の要請として、大きな要因に住宅がなることも想像に難くありません。
都市再開発の要囚には、都市内を構成している諸施設が、時代とともに機能変化を生じていることをあげることができますが、そのなかで都市をリードする施設として、工場、店輔の変化はまた、都市に様々変化をもたらすことになります。商業地の再編成によって、既存の施設は駐車場を必要としたり、規模の拡大化が要求されつつあります。また一部には交通機関の系統の再編成や、業務地の移動の影響を受けて、拡大したり、衰退したりするところが表れています。しかし、商業施設そのものは、主導的役割を果たすものではなく、むしろ他の施設に追従するものであるため、商店街の再開発に合わせて、立地案件を改善するような施設の投資が伴わないと、効果を高めることが困難です。さらに流通機構としては、交通障害により、卸売業の都市内の位置が必ずしも好ましいものでなくなってきています。これを反映して、流通センターの建設が都市の外周部に行なわれ、流通面の改革が加えられようとしています。このように、それぞれの施設の内容の変化と、それを支えている周囲条件の変化によって、一部の機能は都市から追い出され、その跡地が再開発の要因になったり、また機能の改善が直接再開発に結びついてきています。この二面的傾向は今後も続き、都市は絶えず再開発が必要になっていきます。

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