都市再開発の要因

社会の発展といわれている内容で第1にあげられるものが機能の分化、第2に交通、通信の速度の増加と費用の低下、第3には選択の自由度の拡大、第4に平等化の進展、第5に肉体労働の低下と頭脳労働の増加等があげられます。人間社会は、これらの方向に向かって、生産性の向上と資源の開発を進めています。都市における現象として、このような社会の発展がもたらす内部の機能強化がどのように生してきているかを考えてみると、第1の点については、分業化の方向に進むと、機能的な純化が行なわれるようになると同時に、一つの企業のみでは、一つの部分しか担当することができないために、相互に補完しあうものが凝集する傾向を持つようになります。特に日本の場合には、中央集権化の強い国柄であるだけに、行政と結びついた凝集が行なわれやすい。また、金融面において、自己資金装備率の低い脆弱な体質の企業が多いだけに、系列化による資金手当の容易性から、特定の関連を強める動きも生じてきます。また経済構造の二重性から、新企業の安定を図る方策としての中小企業の下請的組織化も、さらに凝集性を増加させる方向性をもっています。これから離れて、分散的力をもちうるものは、装備が大きいものであるか、または新企業的な色彩のある企業体の内部事務であり、また金融機関の同質的内容のものです。もちろん、これらの凝集は地価の高騰を生み出しますが、一部の特定のものしか分散の能力をもちえないとするならば、それが内部化されて企業の存立を左右するようなことはなく、社会に転化することによって企業の安定を図ることを相互に行なうために、凝集化は進展しても、分散を積極的に行ないえない社会組織になっています。これが都市への業務機能の拡大を招き、社会的には、自力で補填することがなく、外部経済の享受の姿で、公共施設整備の要求と結びつくか、従業員の損失へと転化されて行きます。これがさらに社会問題として、都市への挑戦をなしています。

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土地

第2の問題である交通、通信網の発展の方法としては、スピードアップの方法がある。たとえば、新幹線によって東京・大阪間が3時間で結ばれるようになった要囚には、機関車の出力によったり、あるいは車両の安定を図る技術の進歩もありますが、基本的には途中の停車駅の数によっています。高連道路にしても、インターチェンジの数が少なくなるほど、スピードアップしても事故の確率は低下します。直接的な技術の進歩はもちろん必要ではありますが、システム的に見ると、このような交通、通信においては、相互に交通量の多い2点を短絡し、それを媒介として、次に多いところとを結ぶようなネットワークをつくることが大切になります。すると、スピードアップされることによってなお一層便益性を増し、相互の関連を強めていくことになります。それが、都市単位で考えてみると、大都市へ傾斜する傾向を強め、大都市の力がより大きくなっていきます。それぞれの都市が、自分より下位の都市や農村の機能を吸収し、自己がそれまで保有していた機能はより上位の都市へ吸収されてゆく結果になります。例えば新幹線の影響として、名古屋の管理機能の一部が東京へ吸収されたといわれていますが、今日では大阪のトッブ機能の一部が東京へ吸収されています。すなわちある会社では、大阪で育ったものでありながら、本社の所在地が、大阪であるという看板は降ろしていないが、内容、業務そのものはすでに東京に移転し、社長、重役の東京滞在期間が大阪より長くなっているといわれます。このように、交通、通信網の発展は、都市内部の問題についても同じことで、機能の点集中化の方向をもっています。これが地区の体質を変え、機能を変える要因になっています。
第3の点は、所得の向上と相まって、行動圏の拡大によって選択の自由度が増大し、欲望の顕在化の可能性の増加が次の新たな欲望の発展を生み、その需要が選択範囲を広げることになっていきます。商業施設においては、この傾向を強く受けて、店舖の専門店化や大規模化が行なわれることになり、それも人の集散するところに凝集します。また住宅の場合は、分散的傾向と凝集的傾向が同時に起こります。これは、住宅に対する欲求に二面的性格があるからです。つまり、一つは離散的欲求で、自然を愛し、社会から離れた自分の家を持ちたいという希望と、もう一つは、接近的欲求で、仕事、娯楽その他の施設へ接近する便益を増そうとする欲求です。この両者がそれぞれの性格をより明確に打ち出してくる可能性があります。その一面的なものを受けて、都市再開発の需要が増大してきます。
第4の平等化の進展は、全体的な施設の質的向上をうながすことになります。例えば不良住宅の改良事業のような性格のものが次第に多くなってきます。現在の段階ではまだ、住宅の不足がこの面の需要をおさえているが、将来は次第に変わってくるはずです。また災害に対する防災計画も進んできます。このようなものが、都市内でも日の当たらない場所に再開発の必要を増してきます。また、格差是正の思想が普遍的なものになってきて、環境整備の遅れている地域が次第に水準の向上に向かうでしょうが、それに合わせて、公害の要因となっている工場の整理等を通じて、土地利用の変化を発生し、それがまた再開発と結びついてきます。
第5の点としては、現在の中小企業が成立している一番大きな要困である肉体的労働の部門で、次第に使用材料の変化、工作機械の改善によって、その成立をおびやかすようになる可能性が増し、系列化もあって、大企業との関連による工場の分散化の方向に進みます。その跡地の利用という再開発が必要になります。また生産性の向上は、人間1人当りの余剰価値の増加をもたらすため、販売、管理面の業務が増加し、それが、大都市へ人口を呼び込む要因になってきます。現段階では、生産に従事する人の増加数にほぼ等しい数が非生産部門でも増していますが、これからは次第に、非生産部門の増加割合が大きくなってゆくはずです。
以上のように、都市への人口集中あるいは機能の純化による特定機能の集積は、ますますその速度を早めてゆく可能性があり、それに応えて、都市の土地利用面における質的転換が強く要求され、都市再開発の需要が増大していきます。

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