不動産取引価格の調査要領

一般に不動産の売買は、取引内容を秘密にするものであり、世間に流布される価格は最高の価格が大部分です。分譲宅地または競売に付される公開売買は別として、国や公共団体のものでも限定された範囲の調査が許されるだけです。不動産取引業者の場合でも、自己の取扱った契約内容は他に漏らしてはならないという宅地建物取引業法第16条の規定に制約されるため、地番や当事者名を明らかにしない方法と、調査した売買価格先例は標準地価格の評価資料以外には用いないという制約が必要です。なお、売買実例で知りたい事項は次のとおりです。図面により位置を明示すること、取引の成立および完了した時期、地目、面積、地形、地勢、街路関係などの土地自体の状態、地上物件があるときはその状態、取引成立以前の土地の利用状態、買人の利用目的、売りに出た土地か、買人が必要で交渉の結果成立した価格か、所在地域の法律上の規制、成立した取引価格、代金支払その他の取引条件、地上物件とともに成立した価格の場合は、地上物件についての説明。

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土地

売買価格の大部分は、個人的事情や変動する社会経済的事情に影響されて成立する価格です。また、買い手は自己の営業や住居に最適と思う土地を選定するため、その買い手にとって最高の価値をもつ土地として取引される場合のものがあります。銀行が店舖敷地を買取する場合などはその例です。
かくて、調査した取引価格は、いわゆる市場資料比較法を適用して修・補正の上利用しなくてはなりません。そしてそれは、不動産鑑定士が鑑定評価手順の中でする作業です。しかし、調査された取引事例価格は、内容を検討し得るものになっていなければなりません。そのような整備、検討は事務機関の仕事に属すると思われます。ドイツの例をみても、事務当局が売買価格先例をそのまま整備するのでなく、異常または個人的な事情によって影響を受けた売買価格は、訂正のうえで価格先例集にとりいれるか、または除外することになっています。
地価公示制を実施する地域の決定は、税制上の評価機関などとの調整の問題もあって、多分に政治的、行政的な配慮が必要になります。宅地制度審議会の答申では、公示制度の対象となる区域は、宅地問題が深刻化しているか、または深刻化するおそれのある市街地及び市街化の予想される区域とするものとするとなっています。これを決定するについての検討事項では、全国の市町村、一定規模以上の市町村、宅地問題がある程度深刻化しているものとして指定された市町村の三つであるため、最後のものがとりあげられたわけです。
これについてのドイツのものは、連邦建築法の施行に関する第一命令の第一条で、鑑定委員会は20,000人以上の市町村及ぴ郡に設置するとなっているため、おそらく全国的な規模で実施されているものと思われます。地価公示制の実施は、土地の流通機構を合理的なものにすることであるため、対象地域を決定する指標は土地売買が盛んに行なわれる地方であることはもちろんですが、できうれば全国的な規模で実施されることが望ましい。最も取引の多い土地は宅地の素地だからです。つまり、首都圏整備法、近畿圏整備法などの都市開発区域に指定されている地域ばかりでなく、新産業都市建設促進法や低開発地域工業開発促進法等の指定区域についても実施を計画すべきです。したがって、宅地見込地は、宅地としての素地が熟成しているものばかりでなく、社会資本の没下によって宅地化が将来に期待される土地についても行なうべきです。また、都市計画法の第7条では、市街化区域と市街化調整区域を,第12条では市街地開発事業についてそれぞれ規定するとともに、第8条では地域地区制についての新しい規定をもりこんでいるので、選定される標準地地域は、これらの法令との関連を明確にすることが重要です。

土地
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