公示価格

公示される標準地価格は、実際上の取引価格から引き出される価格であることはいうまでもありません。なぜならば、地価公示制は土地市場を機能化して、高度化した自由主義経済に適合した地価形成の制度的環境をつくろうとするものだからです。しかし、収集される取引事例価格は、公示される標準地価格を求めるための判断資料ではありますが、その仲値または平均値を求めて公示価格にしようとするものではありません。規格、銘柄が一定していない土地の取引価格を平均しても意味がなく、同じ土地が短期間に何回も取引されるものでないため仲値と称される価格はありえないためです。したがって、収集した取引事例価格は、そのままでは資料として役立ちません。実際上の取引価格は、取引の時点および事情、ならびに土地自体の物理的状態によって個別的なものだからです。

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土地

公示される標準地価格は、不動産鑑定評価基準でいっている公正自由な土地市場を想定した正常価格です。したがってそれは、専門職業家としての不動産鑑定士が鑑定理論に基づき、高度の評価技術を駆使して求める価格であって、適正な時価というのと同じです。しかし、鑑定評価の実務に当面すると、正常価格という言葉は、土地の利用形態や、鑑定評価の目的によって様々な解釈が生まれてきます。このことは、土地は営利的、消費生活的な価値を生産する資産だからであって、資産としての形態や、その資産を利用している主体の求める価格に種類があるからです。求めるべき価格についての前提案件を必要とする所以であり、このことを明確にしないで求めた価格の妥当性を議論しても意味がありません。
鑑定理論の立場から正常価格を分析して、地価の公示制度における正常価格の意義を明らかにしなくてはなりません。理論価格としての正常価格を、鑑定理論の立場から分類すると、価格形成の場からのものと、不動産自体の様相からのものとの二つに分けられます。価格形成の場からする理論価格は、その場が市場を前提しているかどうかによって区別されます。評価目的が売買、賃借、金融、補償、訴訟などの場合は、市場を前提した価格であり、資産再評価、公共用不動産、損害保険などの価格は、市場を前提しない価格です。したがって、前者を市場性価格、後者を特殊価格ということができます。
不動産自体の様相からする理論価格は、対象不動産の現実の利用状態や、これから何にという用途を限定しないで、当該不動産が具有している客観的な有用性を鑑定して、その有用性に対応する価格を求めるものと、現実の利用状態や、これからの利用目的を前提して、それに即応する価格を求めるものとの二つがあります。前者を客観的な価格、後者を実際的な価格ということができます。そして、客観的な価格を求める指導理論は最有効使用の原則で、この原則は均衡の原則、収益逓増・逓滅の原則とともに、限界生産力均等の法則を分折した原則です。限界生産力説は、収益目的不動産の評価方式として用いられている取益還元法の基礎理論です。
地価公示制の機構は、公示する標準地価格を鑑定評価する機関と、公示価格を最終的に決定して公示する機関との二つがあります。前者には、標準地価格の鑑定資料として必要な取引事例価格を調査、取集する補助的な機関が必要です。不動産鑑定士にそれをともに委属する方法も考えられますが、不動産市場の直接的な担い手である不動産取引業者に委嘱することが望ましく、その外に事務の処理を担当する機関が必要なことはいうまでもありません。

土地
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