短期賃貸借の更新

抵当権のついている土地でも、その所有者は、これを自分で使ったり、他人に貸したりすることもできますが、抵当をつけている債務が完全に支払われるならば、とくに問題はないはずです。
ところで、更地の土地と、土地の所有者が自分で家を建てたり、借地人がいて家を建てて使っている土地とでは、その価格が非常に違うことは常識になっています。したがって、抵当権をつけた当時には、更地であった土地を、その後他人に貸し、借地人がそこに建物を造ることを無条件に許すことになりますと、その借地権によって土地の価格が大幅に下り、当初予想した値段では売れなくなって、債権者が債権を回収しえず、思わぬ損害を被ることがあります。そこで、土地に抵当権をつけ、その登記をした後、その土地を賃貸しても、原則として、借地権者は、その抵当権者や抵当権の実行による競売で、その土地を買った人(競落人)に、自分が借地権者であることを主張することができず、抵当権が実行された結果、これらの人から土地の明渡しを求められたならば、これに応ぜざるをえないものとされています。
しかし、抵当権のついている土地も、その所有者がこれを利用することもできるわけですから、民法は、この土地所有者の利用権と抵当権者の利益(担保権)の調和をはかるため、五年の期間を超えない土地の「短期の賃貸借」については、これを登記したときは、抵当権者や競落人に自分が借地権者である ことを主張し、借地権があるかぎりは、土地の明渡しを拒むことができるものとされています。もっとも、土地の所有者が、債権者をことさら害するためにその土地を賃貸し、そのために抵当権者が損害を被るときは、裁判所に訴えてその賃貸借を解除してもらうことができます。なお、五年の期間を超えて、二〇年とか三〇年とか期間を決めた土地の賃貸借は、全体としてその存在を主張しえないのであり、二〇年あるいは三〇年のうち、三年間だけは、借地権を主張することができるというものではないとされています。というのは、長期の借地権は、その長期の存続を前提として、借地の条件が決められ、使用の方法が決定されているので、事実上、抵当権の実行を困難にしたり、競落人の利益を害することがあるからです。いうまでもないことですが、短期の賃貸借も、これを有効に主張するためには、その登記をしなければなりませんが、それは、抵当権による競売申立の登記の前にしておかなければなりません。

スポンサーリンク
土地

五年以下の短期の期間を決めた土地の賃貸借は、その期間が経過したときに、更新されるものでしょうか。土地に借地権があるということは、抵当権者に損害を与えることととなるのですが、債務が確実に 支払われ、抵当権を実行するまでに至らないのであれば、借地権があっても、抵当権者はとくに損害をこうむらないわけです。いいかえれば、抵当権者が借地権の存在によって、損害をこうむるとすれば、それは、抵当権の実行として競売が行なわれるときです。してみれば、その競売が行なわれるまでは、借地権の更新を認めても、従前のとおりの短期のものであるならば、抵当権者の利益を害しないことになります。判例も、このような見地から、抵当権設定後登記された短期の土地の賃貸借についても、更新が許されると述べています。
したがって、また、短期の賃貸借について更新が認められるのは、抵当権の実行として競売が申し立てられ、その登記がなされるまでであるといわなければなりません。すなわち、裁判所のなした土地の競売開始決定が、債務者に送達され、競売申立の登記がされたときは、その土地を差し押えたという効力が生じ、土地の所有者はその土地を処分したり、競落人の権利に制限を加えるような権利をその土地に新しく設けることは許されなくなります。そうして、短期の借地権であっても、土地の所有権に制限を加えるものにほかならないのですから、これを新しく設けたり、更新したりすることは、許されないということになります。そうしますと、抵当権による競売開始決定があり、競売申立の登記がなされるまでは、借地権者は、借地上に家があれば、賃貸借の期間が満了したときに、地主に対して賃貸借の更新を請求することができ、地主は、自分でその土地を使うなどの正当な理由がなければ、その更新を拒むことができないことになります。その結果、実際には、賃貸借が更新され、引き続きその土地を使用できる場合が多いことになります。
しかし、競売申立の登記がなされると、その後は更新が許されず、第三者がその土地を競落しますと、五年の期限がきれたときに借地を明け渡さなければならなくなります。ですから、抵当権のつけられている土地は、場合によっては、五年とか一〇年で使えなくなるということもありうるわけですから、一時の使用のために借りるならば格別、長期の使用を予定している場合には、これを借りない方が無難です。もっとも、債務の支払が確実になされる見込があり、万一債務者が支払えないときは、借主が代わってこれを支払うという約束をするとか、競売になったら、借主がその土地を競落するというつもりであればその土地を借りることもよいでしょう。

土地
借地上建物の処分/ 建物のない借地権の処分/ 急を要する借地権譲渡/ 借地権を近親者に譲渡する可否/ 借地権譲受人の地代支払能力/ 借地権の無断譲渡/ 譲渡担保と借地権譲渡/ 権利金と借地権処分の自由/ 残存借地期間の短い場合/ 借地条件の変更/ 建築請負人と借地権譲渡/ 借地の一部転貸と土地明渡請求/ 転借権の譲渡/ 転貸による借地人中間利得/ 転貸の承諾/ 転貸借の終了/ 賃借人の地代滞納と転借人/ 原賃貸借契約更新拒絶の正当事由/ 原賃貸借の期間満了と転借権/ 借地権の相続/ 借地人の内縁の妻と借地権/ 借地権の相続と遺産分割/ 地主の死亡と共同相続/ 借地関係継続中の権利義務/ 土地利用権の態様/ 借地上建物の賃貸と敷地/ 借地上建物の用法/ 借地上建物の種類の特約/ 借地建物条件の変更/ 借地上建物の無断改築/ 増改築禁止特約と増改築/ 土地用法の制限の効力/ 借地人の隣地通行/ 借地の不法占拠/ 借地権の取得時効/ 権利のない土地の利用/ 借地権消滅後でも借地人が立ち退かない/ 駐車場の利用権/ 屋上の賃借と借地法/ 区分地上権と借地人/ 借地の期間/ 建物の堅固、被堅固/ 短すぎる約定借地期間/ 建物の滅失と借地権/ 建物の朽廃と大修繕/ 建物の滅失と再築/ 借地契約の更新と保証人/ 地主が使うまで貸すという契約/ 賃借権での調停による明渡期間/ 短期賃貸借の更新/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー