借地契約の更新と保証人

当時友人だったAに頼まれ、Bから借地する際の保証人になりました。その後私が他県へ引越したりしたせいもあって、Aとのつきあいもなくなり、季節のあいさつの手紙の交換さえ一〇年ぐらいもと絶えているくらいで、保証したことなどもすっかり忘れていました。ところが先日、Bから突然Aの地代三年分を払えという内容証明郵便が来ました。思い出してみれば、保証をしたことは確かですが、五〇年以上も前のことで突然責任を負わされるのは、なんとなく厨に落ちないのですが、しかたないのでしょうか。
借地契約のときその保証人となる、ということは、借地人が借地契約から生ずるであろう債務を履行しない場合に自分が借地人に代わってその履行をしよう、ということを地主に約束することです。これは地主の利益のためにすることであって、この責任はふつうの場合には借地契約の存続する間存続します。
そこで、本問の場合、設定された借地権の存続期間がたとえば六〇年というもので、いまだに借地権が存続している、というのであれば、保証人としての責任を負わなければならないことは明らかです。保証契約をしたのはずっと昔のことですでに忘れていたとか、主たる債務者との間が疎遠になったとかということは保証人としての責任を逃れる理由になりません。
これに対して、はじめに設定された借地権の存続期間が、たとえば三〇年というもので、設定後現在までの間に少なくとも一度は借地権の更新があった、という場合には、はじめの借地契約についての保証人の責任が更新後にも存続するのか、ということが問題になります。保証契約の中に、保証人としての責任は借地契約が更新されたのちにも存続するという趣旨のことが特約されているとか、あるいは更新のときにあらためて保証人の同意をえたということであれば問題ありませんが、そのような特約も措置もない場合に保証人の責任が当然に更新後にも存続するということになると、保証人としての責任が保証人自身の関知しない事情によって、当初予期した以上に長く存続するということになり、保証人として困ったことになるかもしれません。しかし、他方、保証契約の相手方である地主の立場からみると、現在の法の下では借地契約をその期間満了のときに終了させることはかなり困難であり、地主自身の意思に反して更新されることの方がむしろふつうであり、また、そもそものはじめに借地人に貨すときには特定の人が保証人になるというので、そのことにより地主の利益は十分に安全だと考えて貸すことにしたということもありえます。そのような場合には、地主としては当初の期待を借地権変更後にも保護してもらいたい、ということになります。また、客観的にみても、地主は現行法の下ではいろいろの点で借地権のために犠牲をしいられているのだから、このような点では地主の利益を保護してやるべきだ、ともいえます。これらの点を考慮して、現在の通説では、保証人の責任は、とくに別段の指置がとられないかがり、更新後の借地契約についても存続するものと認められます。つまり、あなたの保証人としての責任は、本問の借地権の更新があったとしても、存在します。
ただし、あまりありそうにないことですが、はじめの借地権が一度完全に消滅し、その後しばらく経ってから同一の地主と借地人との間で新たにもう一度借地権が設定されたとすれば、更新の場合とは異なり、保証人としての責任は、はじめの借地権が消滅したときになくなったことになります。

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一般に、保証契約は保証人と主たる債務者や、保証人と債 権者との間の信頼関係を基礎としてなり立つ継続的な関係であるので、保証契約を結んだ当時と著しく事情が変わって、当初あったような信頼関係がもはやなくなり保証人の負担が相当以上に加重されたものとなった、というときには、将来に向って保証人としての責任を消滅させることができます。例えば、借地人が地代の不払いを続けるとか、地主がそれにもかかわらず借地人の使用継続を認めている、などといった場合です。
このほかに、保証人としては、地主(B)に対して、まず借地人(A)に地代の支払を催告せよと要求し、それでもAが払わないのでなければ自分に対する支払要求には応じられないと主張したり、Aに弁済の資力がありかつ執行が容易であることを証明して、まずAから取り立てよと要求することができます。しかし、これらは地主に対するいちおうの抗弁であって、地主が要求に応じてこれらの措置をとったあとで、まだ債務が弁済されていないからその分を弁済せよ、といって来たら、保証人として支払をしないわけにはいきません。
なお、あなたが借地人(主たる債務者)に代わって地代を支払った場合には、あなたが支払った金額を借地人に請求することができるわけですが、そのための措置として、他主に支払う以前と以後に借地人に通知しておくことが適当です。このような事前の通知をせずに他主に支払をしたとき、もし、借地人としては他主に地代を支払わなくてもよいような事情があったとすると、借地人はあなた(保証人)の請求(求償)を拒むことができます。また、あなたが地主に支払ったのちに借地人に通知をせずにおいて、あなたの支払を知らずに、借地人が他主に二足に支払をした場合も、あなたは借地人に求償することができません。その場合には、あなたは先に支払った他代分を地主の不当利得として、他主に対して返還を請求することになります。

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