短すぎる約定借地期間

父の代から所有地を期間一四年ということで、貸しました。借地人は、そこに家を建てて住んでおり、私の方からも明け渡せなどということもなしに、今日に至っています。勘定してみますと、来年には三度目の満期がくるはずですし、この土地を明け渡してもらいたいと考えていますが、明け渡させることはできるでしょうか。
前に述べたように、借地権の存続期間が法律の定めによって当然に、堅固の建物の所有を目的とするものは六〇年、堅固でない建物の所有を目的とするものは三〇年とされるのは、当事者が合意で期間の定めをしなかった場合であって、当事者が合意で定めておけば、そのようにして定めた期間があとで述べるような最低限度以上のものであるかぎり、それが借地権の存続期間となります。当事者は五〇年とか八〇年とか、どんなに長い期間を定めることもできるわけです。これに反して当事者がどんなに短い期間をも定めることができるとすると、実際取引上優位にある地主側の希望が通って非常に短い期間が定められ、建物所有のためという借地のそもそもの目的が損なわれることになるので、法律は、当事者が定めうる期間の最低限度を決めております。その限度は、堅固な建物の所有を目的とする借地権の場合は三〇年、堅固でない建物の所有を目的とする借地権の場合は二〇年です。そして、これより短い期間を当事者が合意で定めても、それは効力をもちません。
本問の場合、借地権が堅固な建物の所有を目的とするものか堅固でない建物の所有を目的とするものか明らかでありませんが、いずれであるにせよ、定められた一四年という期間が三〇年または二〇年という法定の最短期間よりも短いことは明らかですから、このような期間の約定には効力がありません。

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ここに述べたように、法定の最短期間よりも短い期間を合意で定めても効力はありません。そして、そのような定めはなかったものとして、法律上一律に期間が決められることになります。この法定の期間が何年になるかについては、二つの考え方があります。その一は、当事者間に期間についての約束はなかったものとみなされるのだから 堅固な建物の所有のための借地権なら六〇年、堅固でない建物の所有のための借地なら三〇年になる、とする考え方です。もう一つの考え方は、約束した期間は無効であり、なかったものとみなすといっても、当事者間にはともかく期間を二人で決めようとの合意はあったのだから、期間の約定が全くなかったという場合とは違う、そして、合意によれば三〇年または二〇年の期間を定めることはできたはずなのだから、法の認める範囲でなるべく短い期間にすることが当事者の意思に適う、という理由で、期間は堅固な建物の所有のための借地権なら三〇年、堅固でない建物の所有のためのものなら二〇年になる、と考えます。この二つの考え方の中で後者の方がやや有力ですが、まだ十分に固まっているとはいえません。
そこで、本問の借地権の存続期間を決めるには、まずそれが堅固な建物の所有を目的とするものか堅固でない建物の所有を目的とするものであるかを確かめなければなりません。そのうえで、この二つの説をそれぞれ適用すると、堅固な建物の所有を目的とする借地権なら存続期間は六〇年か三〇年堅固でない建物の所有を目的とする借地権なら三〇年か二〇年です。そして、地主としては、この満了期に借地人の更新請求や借地人の使用継続に対して遅滞なく異議を述べて借地権の更新を阻止しなければなりません。
存続期間の計算をここに述べたところに従って正しくやり、期間満了後借地人の更新請求や土地使用の継続に対して遅滞なく異議を述べるとしても、もし借地人の家がその時期に現存するならば、あなた地主が異議を述べるについて正当の事由がなければなりません。地主は、この土地を明け渡してもらい、アパートを建てて生活を立てたいと考えているような場合、それだけで正当の事由加あると認められるとはかぎりません。借地人にはどうしてもそこに住んでいなければならない事情や、別の所へ行きたくても適当な家がみつからないという事情があるかもしれません。正当な事由とは、このような相手側の事情も十分考慮に入れて判断されるものです。
また、仮に正当の事由があって明渡請求が認められても、そのときに借地人が 現存する建物を時価で買い取ってくれといったら、地主は買い取らなければなりません。

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