屋上の賃借と借地法

10年前にでパートの屋上を借り、そこに建物を建てて、売店を営んでいました。期間は10年ということになっており、先日、デパート側から期間満了により明渡しの申入がありました。この場合は明け渡さなければならないでしょうか。また明け渡す際には場合には建物などはどうなるのでしょうか。
ビルの屋上を賃借してそこに建物を建てた場合におこる問題は、借地法や建物保護法などの適用については土地と同じようにみられるかということで、いいかえれば、そのビルの屋上の使用は、借地法などによる保護を受けることがでぎるかということでしょう。そうして、特にデパートの屋上を借りて営業をしているような場合には、デパートの営業組織との関係をどのように考えるかということも問題となります。
ビルの屋上を賃借して、そこに建物や広告塔などの工作物を造るということは、近時かなり盛んに 行なわれているところです。そのなかでも、屋上に建物を建てて、これを住宅または店舗などとして使用する場合には、そこが賃借人の生活の本拠となるわけですから、その点からみれば、土地を借りたときと同じように考えてもよいでしょう。この点に着目するかぎり、まず、ビルの所有者が変わった場合に、その屋上が使えなくなるようなことのないように、建物保護法を類推して適用することが望ましいといえるでしょう。そのためには、ビルの屋上の建物が、独立の建物として登記できるようなものでなければならないのは当然です。
次に、賃借人がなるべく永続してビルの屋上を使うことができるようにするためには、借地法の規定も、大体において、これを類推して適用すべきであるということになるでしょう。ただ、ビルの屋上か一時の使用のために借りたという場合には、借地法の期間と更新に関する規定は、類推適用されないことになります。
それだけではなく、デパートの屋上を借り、そこに建物を建てて営業をしている場合には、通常の賃貸借のほかの他の要素が加わっていることがあり、純粋に賃貸借の理論だけでは、解決のつかない場合もでてきます。

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土地

デパートの屋上を賃借し、売店を建てて営業している場合にも、いろいろなケースが考えられます。
まず、屋上の賃借人の建てた売店が本建築で、自分の名を使い、その利益と損失において営業を営み、デパートはなんら経営上の干渉を加えず、ただ、売店の営業上の利益の分配にあずかるというような場合には、そのほかに、特に、10年間だけ貸してそれで終りにするという合理的な根拠がないかぎり通常の賃貸借と認められることになるでしょう。そうしますと、このようなケースについては、一応借地法に定められていると同様の保護が与えられることになりますから、10年という期間は、借地法の規定よりも賃借人に不利益な特約であるということになり、これを定めなかったものとされる結果、30年間そこを使えるわけですから10年の期間が過ぎても、そこを明け渡す義務はないということになります。
これに対し、屋上の賃借人がデパートの商号、商標などを使用し、デパートの信用を背景として営業をしているような場合は、その営業は、デパートの営業組織の中に織り込まれているということができます。そうしますと、契約で決められた10年間という期間は、デパートの屋上を賃す期間であると同時に、屋上の賃借人に、デパートの信用を背景とした営業をさせる期間でもあるわけです。いいかえれば、そこには屋上を使用させるという物の利用に関する法律関係と、デパートの営業秩序や信用の中で、屋上の賃借人に営業をさせるという相互の信頼関係の強い営業上の法律関係があるわけですから、借地法の保護をそのまま与えることはできないと考えます。つまり10年の期間についていいますと、それは、ここに述べましたように、営業上の法律関係の存続期間を決める趣旨をも含んでいるものですから、その定めは有効であり、デパートが屋上の明渡しを求 めたならば、原則としてこれに応じなければならないといえるでしょう。その意味では、一時使用のための賃貸借ということもできます。
この場合、屋上の賃借人は、建物の買取りを請求できるかということが問題となるわけですが、一時使用のための賃貸借と考えるならば、それは否定されることになります。
これまでに述べてきたように、デパートの屋上を使用して売店を建て、営業を営むのには、二つの型があるわけですが、そのいずれであるにもせよ、多かれ少なかれ、デパート全体の営業とは無関係ではありえないわけです。すなわち、自分の名義で売店を経営する場合をとってみても、売店の業績があがらなければ、デパートの収益にも関係してくるでしょう。またデパートは、全店の営業実績のバランスを考えて、営業部門の割当や各営業部門の管理、調整を行なうものといえますから、そのためにデパートが売店の業者に対して与える指示には従わなければならないでしょう。さらにデパートは、その信用を維持するために、業者に対し一定の事項の遵守を要求することもできるといわなければなりません。
このように考えますと、デパートの屋上を借りて売店を営む場合には、たんにその屋上を借りるという法律関係のほかに、デパートの営業管理上の法律関係も発生するということができ、このことに基因し、次のような原因があるときは、デパートは、契約を解除して、屋上の明渡しを求めることができると考えます。
(1)売店の業績が不振であって、デパートの営業に寄与しないと認められるとき。
(2)売店の営業の態様が、デパートの合理的な経営管理に反するとき。例えば、売店の営業方法がずさんであったり、身勝手であったりして、そのため、デパートの信用を失墜させ、もしくはデパートと不公正な競業をするなどして、デパート全体の経営秩序をみだしたときなどがその主なものです。
他方、デパートの屋上を借り、10年の期間を決めて、売店を建てているということは、そこをある程度永続的に使うことを期待しているものといえますから、たとえ借地法の適用がない場合においても、デパートが、自分でそこを使うとか第三者にそこを使わせるとかの必要がなく、他方売店がその明渡しを求められることによって大きな損害をこうむるようなときには、たとえ期間が満了しても、デパートは、明渡しを求めることはできず、契約は更新されることになると考えます。

土地
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