駐車場の利用権

私の所有する空地があります。後目売却する予定ですが、それまで駐車場にしたいと思います。駐車場にした場合、駐車させた人に借地権がつき、その土地を売却するに際して不都合な事態にならないでしょうか。
土地を駐車場として利用するという場合にも、いくつかの方法が考えられます。
その一は、土地の所有者が、その土地に駐車施設を造るなどして、自分の事業として駐車場を経営する場合です。これには、一定の範囲の土地を区画して特定の人に専属的に使用させるものと、特にそのような特定をしないで、随時他人に使用させるものなどがあります。
その二は、土地の所有者が、空地を他人に賃貸し、その他人がそこで駐車場を経営する場合です。これには、その土地を賃借した人がそこに建物を追って経営する場合もありましょうし、露天のままもしくは簡単な施設を造って経営する場合もあります。これらの場合に、借地法の適用があるかどうかということが主な問題となりますので、このことを中心として駐車場の利用関係の説明をしましょう。

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土地

土地の所有者が、自分の事業として駐車場を経営するというのは、その土地で、一定の時間、自動車などを保管することを引き受けるということです。自動車を駐車させて保管する以上、一定の範囲の土地を利用させることになるわけですが、それは、保管を引き受けることに伴う必然の結果であって、土地を利用させること自体に目的があり、意味があるわけではありません。その意味で、この種の駐車場の場合は、土地の利用自体を直接の目的とする賃貸借とは本質的に異なるということになります。したがって、この場合には、借地法の適用ということは全く考えられません。このことは、例えば土地の所有者が、随時駐車を申し込んできた自動車を、そのつど自分の指定する場所に駐車させるというような業態をとる場合には、はっきりしているということができます。
若干問題となるのは、土地の所有者が、駐車場のうち、一定の範囲の土地を区画して、特定の人に専属的に使用させている場合です。というのは、このような場合には、土地所有者と駐車場の利用者との間の取決めいかんによっては、次に述べる土地の一部の賃貸借と解釈される場合もありうるからです。
それで、駐車場としての利用が賃貸借になるかどうかということを判断するための決め手となるのは、駐車場の利用者に、その土地の一部に独立した占有、つまりその場所に対する事実上の支配を認めるかどうかということです。
ある一定の部分を区画して、一定期間そこを専用的に使用させたとしても、当然には、独立した占有を認めたことにはなりませんが、例えば、その特定の区域にある程度恒久的な使用に耐える車庫とかこれに類似する施設を、駐車場利用者の費用で造ることを許すと、独立の占有を与えたとみられることがあるでしょう。それですから、土地所有者が、どうしてもその土地を借したといわれたくないと思えば、自分だけがその土地の占有者であることをはっきりさせておく必要があります。
そのためには、土地所有者が自分で駐車場として利用できる施設を造り、そこに、土地所有者の指示に従って駐車させる、ということを契約上はっきりさせておけばよいわけです。その場合、駐車させる場所がある程度固定してもさしつかえありません。例えば、契約条項として、「甲は、その設置した左記駐車場施設のうち、第○号の場所において、乙の自動車を保管する。甲は、必要と認めるとぎは、いつでも、その保管場所を変更することができる。」とか、「甲は、左記駐車場のうち、甲の指定した場所において、乙の自動車を保管する。」というように、駐車場の占有、管理権は、甲にあることをはっきりさせておけばよいでしょう。また、空地に特別の施設を造らないで、駐車させる場合には、せいぜい容易に撤去、移転することのできる簡易な施設を造ることだけを許す程度にしておく必要があります。
このようにして、土地所有者がその経営する駐車場で自動車を保管する場合には、もちろん借地法の適用はなく、期間が決めてあればそれが経過したときに、また期間が決めてなければいつでも、その土地における駐車をやめさせて、土地所有者自らがその土地を使用することができます。特に土地所有者が、一回ごと     の駐車場の利用券を発行し、それによって駐車させるようにしますと、利用者に独立の占有を与えたと認められないだけではなく、契約も、駐車させるつど成立するものと解釈され、たやすく駐車を中止させることができると考えます。
また、この種の駐車場の利用は、その契約の当事者間だけで効力があるものですから、駐車場としている土地を売却し、土地所有者が変わった場合には、改めてその新所有者と契約を結ばなければ駐車させることはできません。新所有者は、その契約を結ぶことを断わって、自分でその土地を使用することもできます。このことは、大型営業用トラックを駐車させた場合と、小型自家用車を駐車させた場合とで、変わりはありません。
土地所有者が空地を他人に賃貸し、その他人がそこで駐車場を経営する場合には、民法の賃貸借に関する規定が適用されます。この場合でも、賃借した人が、そこに建物を造らない場合には建物保護法や借地法の適用はありません。したがって、期間を決めて貸せば、その期間が過ぎたときにその土地を明け渡してもらえますし、期間を決めなければ、一年の予告で明渡しを求めることができます。また、その土地が第三者に売却されたときは、土地の賃借権の登記をしておかないかぎり、改めて新所有者からその土地を賃借しないと、駐車場として利用できません。
賃借した人が、駐車施設として建物を建てたときは、建物保護法令借地法が適用され、賃借人の権利が強化されることになります。したがって、期間を決めて貸せば、その期間が過ぎたときに土地の明渡しを求めることができなくなるわけです。もっとも、その建物が簡易な小さなもので、その建物を建てることが主な目的であるといえないときには、借地法などの適用はなく、約束どおり明渡しを求めることができます。また、一定の期間後必ず売却することを明示し、それまでの期間駐車場として利用する約束をして、一時使用のための借地と認められる場合には、約束の期間が週ぎれば、明け渡してもらえることになります。

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