地主の死亡と共同相続

土地を借りて家を建てて住んでいますが、先日、地主が亡くなりました。地主には妻も子供もないのですが、兄弟は方々にずいぶんいるようです。地代をだれに払ったらよいのでしょうか。
地主が死亡して相続人が数人いる場合の、借地人とのあいだの法律関係も、借地人が死亡した場合と同じく、むずかしい法律問題で、学説の内容も一致しておりませんから、実際問題を処理するにあたっては、一つの説だけをみて安心することなく、慎重な態度をとることが必要です。
地主の死亡によって、この土地は、地主の他の財産といっしょに、相続人が共同で所有することになります。遺言がなく、特別受益分も問題にならないとすると、本問では、地主に は妻も子も親もないようですから、兄弟姉妹がそれぞれ法定相続分に応じてこの土地の所有権や賃貸人としての地位を相続することになります。兄弟姉妹各自の相続分は原則として相等しくなりますが、なかに被相続人と父母の一方だけが同じのいわゆる半血の兄弟姉妹がいれば、その相続分は、父母の双方が同じのいわゆる全血の兄弟姉妹の半分になります。兄弟姉妹の中に、被相続人より先に死亡した者がいれば、その者の子がこれを代襲して相続人になります。
分割前の共同相続財産の法的性格については、共有か合有かなど議論が多く、学説もまちまちですが、借地人に対する関係では、借地人に対する、または借地人からの借地関係についての意思表示は、地主の相続人全員から、または全員に対してしなければならないか、また、相続開始前の地代債権は被相続人に分割されるか、相続開始後のはどうか、などが問題になります。借地人としては、結局、地主の相続人を確認して、全相続人を相手にできれば、これが最も安全確実です。遺産分割前でも、その土地について共同相続の登記がなされれば、たいていの場合はそこに記載された者だけが共同相続人だと思ってよいでしょう。

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土地

遺産分割によって土地の所有者が最終的に決まると、借地関係についての交渉に際しては、つねにこの者を相手とし、地代もこの者に支払うことになります。分割の結果最終的にこの土地の所有者となった者が、そのことを借地人に対して主張して地代などを請求するには、その旨の登記をしなければなりません。被相続人時代の地代が残っている場合には、この債権は分割によってだれに帰属させることもできますが、通常は、土地の所有権を承継する者と一致することが多いでしょう。いずれにしても、債務の相続が債権者に大きな影響を及ぼすのと追って、債権の方は、だれが相続しても、それがはっきりさえしていれば、債務者に大きな影響を及ぼすことはありません。
以上の説明からも明らかなとおり、借地人は、遺産分割前には全相続人を相手にし、分割後は、分割によって権判者となった者を相手とすればよいわけです。しかし、本問のように、相続人が兄弟姉妹で、しかもその住所もまちまちのときには、相続人とその相続分を確認するだけでもたいへんなことですし、かりに確認できても、その全部を相手にいちいち交渉するのは容易なことではありません。
そこで、借地人としてとるべき手段としては、まず、死亡した地主の兄弟姉妹のうちで比較的交渉に便利な者と話し合って、なるべく早く遺産分割をするように要求することです。次に分割までのあいだ、なるべく他の共同相続人から委任を受けさせて、交渉相手を一人または少数の者にしばれるような方法をとっておくことです。また、相続人や相続分を十分に確認できないときは、地代なども、請求してきた者に直接に全額を支払うことなく、供託しておくことも考えられます。
さらに、もう少し穏やかに考えると、地主が死亡してその相続関係がはっきりしないあいだは、たとえ地代の支払をしばらく遅らせてもそのためにいきなり借地関係を解除される心配はありません。地主の相続人が借地関係を解除しようとすれば、相当の期間を定めて地代債務の履行を催告してくるはずですから、そのときに、はたして請求者が本当の相続人かどうか、他に相続人がいないかどうか、などをたしかめてから、請求に応じるなりその他の手段を講じるなりするのも一つの方法でしょう。

土地
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