転貸借の終了

土地を借り、そこに店舗を建てて今日まで商売をしてきましたが、その借地の一部が空いていたので、隣店のAに頼まれて、地主の承諾をえたうえで、これをAに転貸し、Aはこれに商品倉庫を建てて使用していました。最近、当方の店舗を鉄筋コンクリートビルに建て替える計画を進めており、地主も賛成してくれていますが、建ぺい率の関係でAに貸してある部分も使用しないとうまく行きません。来年には転貸の期限もきれますので、Aに明け渡させたいと思いますが可能でしょうか。
土地の転貸借とは、土地の賃借人つまり借他人が地主より賃借した土地を第三者との契約によってさらにこの者に貸与することをいいます。この契約は、賃貸借契約または使用貸借契約の一種で、転貸借契約という特殊な契約があるわけではありません。しかし、転貸借契約が使用貸借の形態をとるのはごく稀で、多くは賃貸借の形態をとりますので、以下においては、転貸借契約を後者の意味にとらえてみていきたいと思います。
転貸借契約は、転貸人と転借人の間では完全に効力を生じます。もちろん、転貸借は賃貸人の物の再度の賃貸借ですから、賃貸人との関係を度外視するわけにはいきません。賃貸人が転貸を承諾したか否かによって、転借人の地位が大きな影響を受けることになります。しかし、これは転借人と賃貸人との関係においてそういえるだけであって、転貸人と転借人の間はこれとは全く無関係に完全に効力を有します。したがって、賃貸人の承諾の有無に関係なく、転役人は目的物を転借人に占有使用させる義務を負い、転借人は転貸人に賃料支払の義務を負います。

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土地

土地の転貸借の場合における転貸人と転借人との関係は、いちおう賃貸人を除外して考えると、転貸人=地主、転借人=借他人の立場にあるものと解されますから、転借人は借地法の保護をそのまま受けることになります。その結果、転借人の借地権が消滅する場合に転借人が契約の更新を請求しますと、建物のある場合に限り前契約と同一の条件をもってさらに借地権が設定されたものとみなされますし、また転借人が借地権の消滅後に土地の使用を継続する場合に転貸人が遅滞なく異議を述べないときは、前契約と同一の条件でさらに借地権が設定されたものとみなされます。しかも、転貸人が転貸借契約を終了させるためには、このいずれの場合も、転貸人がみずから土地の使用を必要とするなどの正当の事由を挙げて遅滞なく異議を申し立てなければならないものとされます。
このように、土地の転貸借の場合において、この契約を終了させるためには転貸期限の満了時に転貸人に正当な事由がある場合でなければなりません。それでは、どういうものがここでいう正当事由にあたると考えられるのでしようか。この問題は結局のところ、転貸人、転借人双方の必要度を比較し、転役人のそれがより大きいか否かによって決せられるものと思われます。もちろん、具体的にいかなる場合に正当事由ありとされるかは、判例の傾向からうかがうしか方法がありませんが、残念ながら転貸借の場合の正当事由に関する判例はちよっとみあたらないようです。しかし、転貸借契約は、賃貸人との関係を度外視して考えると借地契約と同様にみることができますから、後者における判例理論は前者においてもあてはまるものと考えてよいと思われます。
借地法における正当事由については、別に項目を設けて説明されますのでここでは省略しますが、結論だけいいますと、判例のだいたいの傾向は、借地人がみずから建物を建てるだけの資金は有するが敷地を購入する資金がないために、他人の土地を借りて建物を建て、そこで居住ないし小規模な営業をし、そこを生活の本拠としているというような場合には、原則として地主の正当事由は否定され、ただ地主側に特殊事情ある場合は例外として肯定されるのに対し、借地人が富裕者である場合は、原則として地主の正当事由は肯定され、ただ特殊事情のある場合は例外的に否定される、とみることができるようです。このような判例の傾向は、転貸人の正当事由を問題とする場合にもあてはまるものといえましょう。そこで本問の場合について考えてみますと、転借人のAは土地の上に建物を建てて住んでいるのではなく、たんに商品倉庫を建てているにすぎないのですから、この学者の言をかりれば資本家的転借人にあたるものと思われますので、あなたに正当事由ありと解されるのではないでしょうか。さらにあなたにとって有利な点は、店舗を鉄筋コンクリートビルに建て替えようとしていることです。借地法が問題となった際に、土地の高度利用を正当事由の例示として掲げようという案がでていました。これは結局 は実現しませんでしたが、鉄筋コンクリートビルに建て替えることは正当事由として容易に認められることを示したものと理解できるのではないでしょうか。
以上のように、本問の場合、正当事由ありと認められそうに思われますので、転貸借期間満了の際に遅滞なく異議を述べればAに土地を明け渡させることができるものと思われます。しかし、あなたが明渡請求をしますと、Aは倉庫を取りこわさなければならなくなり、Aの投下資本回収の途をとざして不公平な結果を生じさせることになります。そこでこの場合には、Aはあなたに対して時価で建物を買い取ってくれと請求することができます。なお、このような転借人の買取請求権については、借地人のそれと内容的に異なるところはありません。

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