転借権の譲渡

Aの所有地をBが賃借しているのを、Aの承諾をえて私が転借し、その上に居宅を建てて住んでいます。今度、友人Cにこの居宅を譲渡しようと思いますが、敷地の権利の移転については、AとBとの承諾をえなければならないのでしょうか。また、この承諾がえられない場合には、裁判所の力を借りることがてるでしょうか。裁判もうまくいかなかった場合、それにもかかわらず、Cに建物を譲渡するとすると、結局、Cは土地の明渡しをせざるをえなくなるのだと思いますが、その場合、建物はどうなるのでしょうか。
転貸借は、性質上、賃貸借(有償の場合)または使用貸借(無償の場合)の一種であって、転貸借という特別の契約の種類があるわけではありません。したがって、転貸借契約によって生ずる賃借権を譲渡する場合は、賃借権の譲渡の場合などと同様に考えてよいわけです。そこで本問の場合においては、まず、転貸人(賃借人)Bの承諾が必要です。
また賃貸借の譲渡は、この権利の譲受人が譲渡人に代わって賃借人の地位にたつものですから、賃貸借関係が当事者相互の信頼にもとづいている以上、新転借人がその地位を賃貸人に対して有効に確保するためには、やはり賃貸人の承諾を要するものと解さなければなりません。したがって、本問の場合においては賃貸人Aの承諾も必要ということになります。

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土地

転借権の譲渡の場合には転貸人Bのみならず、賃貸人Aの承諾も必要ですが、これらの承諾がえられなかったときはどうしたらよいでしょうか。借地人が借地上の建物と一緒に敷地の賃借権を譲渡する際、賃貸人の承諾がえられなかったときは、承諾に代わる許可の裁判を裁判所に申し立てることができるという制度が制定されています。転借権の譲渡は賃借権の譲渡の一種ですから、この規定がそのまま適用されます。ですから、転貸人Bの承諾がえられなかった場合に、借地法九条の二の規定によって、転貸人Bの承諾に代わる譲渡許可の裁判を申し立てることができるわけです。
転貸人の不承諾の場合にはこのように借地法九染の二が適用されますが、賃貸人が転借権の譲渡を承諾しない場合に同条を適用することはできません。しかしそれではなんにもなりませんので借地法は別に九条の四の規定を設けて、九条の二を転借人と賃貸人との間に準用することにしました。したがって、この規定によって賃貸人Aの承諾に代わる譲渡許可の裁判を申し立てることもできるということになります。
譲渡許可の裁判の途が開かれたからといって、絶対に許可が与えられるという保障はもちろんありません。そこで、裁判によって譲渡許可が与えられなかったのに転借権を建物とともにCに譲渡しますと、それは承諾しなかった者との関係では不法な譲渡ですから、解除権の行使を受け、Cは建物を取り頌して土地を明け渡さざるをえないことになるわけです。
しかし、これでは、いまだ経済的効用を有する建物が解除権者の恣意により取り壊されるという国民経済的要請に反する結果を生じますし、またCが建物取得のために役下した資本の回収を困難なものとします。そこで借地法はこのような場合にCに買取請求権の行使を認めております。買取請求権の詳細についてはここでは触れませんがこの請求権は一種の形威権ですから、Cが買収清水の相手方に対して時価をもって建物を買い取るべき一方的な意思表示をしますと、自動的に当事者間に時価による売買契約に類似した効果を生じさせます。したがって、相手方は、買取請求に応ずるか否かの自由を有せず、当然に代金支払の義務をCに対して負担しなければならないということになります。このように、買収請求権は強い効果を示しますから、Cが買取請求権を有するということは、この行使を好まない相手方の転借権譲渡の承諾を、間接的に強制するという作用を営んでいるということもできます。
以上のように、転借権譲受人Cが買取請求権を行使できるのは、転借権の譲渡について賃貸人Aまたは転貸人Bのいずれか一方が承諾しなかった場合、および双方とも承諾しなかった場合に限られます。そこで、これらの場合に、Cはだれを相手方として買取請求を行使すべきかが問題となります。場合を分けて検討してみましょう。
賃貸人(A)承諾、転貸人(B)不承諾の場合。この場合に、CはBに対してのみ買収請求をすることができます。Aに対してはできません。この点については争いのないところです。なぜなら、AはCの敷地利用を承諾しているのですから、Aに対する買取請求は問題とはなりえませんし、またAとの関係を除外して考えると、BとあなたとCの三者間の関係は普通の賃借権の譲渡の場合と全く同様ですから借地法一〇条により、CはBに対して買取請求権を有することが明らかだからです。
賃貸人(A)不承諾、転貸人(B)承諾の場合。この場合は前述とは逆に、CはAに対してのみ買収請求権を行使できるものと思われます。しかし学説の中には、Bが転貸によって中間利益を取得できる点を考慮し、本問のようにBからあなたへの転貸にAが承諾を与えている場合は、Bの中間利得をAが承諾したものと解されるから、その後になって転借権の譲渡の承諾を拒絶することはBの利益を不当に害することになるという理由で、CはBに対してのみ買取請求を行使することができ、建物を買い取ったBはAに対して有効な借地権をもっているため、ひきつづきこれを土地の上に存置させながら使用、収益することができる、と解する見解が最近主張されています。
賃貸人(A)不承諾、転貸人(B)不承諾の場合。この場合は、理論的にはCは ABいずれにでも買取請求ができるように思われますが、直接契約の当事者であり、賃貸人に優先して借地を利用する権原を有するBに対して買取請求をなすべきものと考えるのが妥当ではないでしょうか。下級審判例の中にもこのような見解をとっているものがあります。

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