残存借地期間の短い場合

28年前に所有地をAに貸し、Aは店舗を建てて商売をやってきましたが、AがBという人と一緒にやってきて、Aは商売をやめたいので、建物営業権一切をBに譲渡することにしたから、あらためてBに土地を貸してほしいということです。こういう場合、断ってもAが裁判所にもち出すと、借地権譲渡許可の裁判とかをされて、Bの借地権を認めざるをえなくなるのでしょうか。また、AやBの申出をうけた場合、ないしは裁判所の許可の裁判があった場合にも、明後年の期間満了時になれば、土地を明け渡してもらえるのでしょうか。
借地法は、借地権の存続期間を法定しています。つまり特約のある場合を除き、石造、土造、煉瓦造またはこれに類する堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物の所有を目的とするものについては30年としています。本問の場合は、後者に属するものと思われます。借地法は借地人保護のために判定されたものですから、この期間内に地主側からの解約はできないわけですが、借地人側からの解約申込はこの期間内であっても可能です。したがって、本問の場合にAが解約申込をしますと、一年の猶予期間を経過することによって借地契約は終了します。しかし、Aの解約申込に対して直ちにそれを承諾しますと、この期間を経過するまでもなく、借地契約は当然に消滅することになります。そこで、「あらためてBに土地を貸してほしい」という言葉が借地契約を解除し、あらためてBと間に新賃貸借契約を締結してほしいとの意味であるとしますと、この場合の承諾は、Aとの借地契約を終了させ、Bとの借地契約を成立させることになります。
ここで注意しなければならないのは、旧契約と新契約との間には法的な連続性はなく、両者は全く別個に考えなければならないという点です。つまり、旧契約の借地権存続期間があと二年だとしても、新契約はこの期間を引き継ぐものではなく、借地期間があらたに定められることになります。この場合に、存続期間について特約があれば別ですが、それがないときには、本問の場合ですと、30年の存続期間が新たに生ずることになるわけです。したがって新契約の申込に承諾を与えたならば、たとえAの借地権の期間満了時である明後年が到来したとしても、これを理由にBに土地の明渡しを請求することはできないものと思われます。

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土地

新契約の申込があっても、これを承諾する義務はありません。したがって、この申込を拒絶しますと、Bと間に借地契約が成立しませんから、Bに借地権が生じないのはもちろんです。これが借地権の譲渡の場合ですと、拒絶は譲渡許可の裁判の中立事由となりますのでBの借地権を認めざるをえない結果となるおそれもでてきます。しかし、借地権譲渡の承諾と新契約の締結とでは大きな相違があります。前者では、従前の借地人の地位がそのまま後の借地人に引きつがれるのに対し、後者では、新借地人の地位が旧借地人のそれとは無関係に生じるもので、新旧両借地人の間に連続性がないからです。したがって、借地権譲渡に関する規定は所契約を成立させる場合には適用はなく、新契約の申込を拒絶したからといって、譲渡許可の裁判をされるおそれはないといえましょう。
上述のように、借地権の譲渡とは、譲渡人(旧借地人)の借地契約上の地位がその内容の同一性を保ちながら譲受人(新借地人)に移転することをいいます。したがって、本問の場合のように、譲渡人の借地権の存続期聞かあと二年しかないという場合には、譲受人のそれもあと二年で期間満了となります。ですから、明後年の期間満了時に土地の明渡しを請求できることになります。ただ、ここで注意を要するのは、借地法が、みずから土地の使用を必要とするかその他の正当事由がある場合でなければ明渡しを請求できない、としていることです。この正当事由がないかぎり、存続期間が更新され、さらに借地権は20年間存続することになります。
この場合には、借地権者の申立によって譲渡許可の裁判がなされることになります。許可の裁判がおりた場合は、承諾したときと同様の効果を生じます。したが って、明後年の期間満了時に、正当事由があれば、土地を明け渡してもらえることになります。問題は、意思に反して借地権譲渡の許可がおりたという事情が、ここでいう正当事由となりうるかという点です。譲渡許可の裁判がまだ実施されていないので、はっきりとはいたしませんが、無条件で許可がおりた場合とか、存続期間の短い点が裁判所によって考慮されて僅少な「財産上の給付」を条件として許可がおりた場合などのように、意思がかなり無視されたようなときには、あるいは正当事由として考慮される余地があるかもしれません。

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