建物のない借地権の処分

建物を建てるつもりで、権利金5000万円を支払って、土地を借りうけましたが、その後の経済事情の変化で、建築資金ができないために、借地権を手放して金にしたいと思っていますが、この場合には地主の方の関係はどうしたらよいでしょうか。
本問は、土地の上に建物がない場合、つまり更地の借地権譲渡の問題です。この場合には民法六一三条の適用を受け、原則として地主の承諾がなければなりません。承諾がないにもかかわらず無断譲渡をしますと、地主に借地契約の解除権が成立し、この行使を受けるおそれがあります。したがって、地主の承諾をなんとかとりつけるように努力すべきだと思われます。
地主に交渉してみたけれどもそれが失敗に終った場合、まず最初に考えつくことは、借地法九条の二によって、裁判所に対し地主の承諾に代わる許可の裁判の申立をする方法がとれないだろうか、ということだと思われますが、同条は、借地上の建物の譲渡に伴って借地権の譲渡または転貸がなされる際に、地主が承諾を拒否することによって借地権者の受ける投下資本回収の困難性を避ける趣旨で規定されたもので、あくまでも借地の上に建物が現存していることが要求されます。したがって、本問の場合には、同条の適用の余地はありません。

スポンサーリンク
土地

それでは、地主が承諾しなければ絶対に借地権の譲渡ができないかというと、必ずしもそうとばかりはいいきれません。民法六一二条二項の規定からすれば、無断譲渡が行なわれると直ちに地主に解除権が発生するようにみえますが、判例は地主の恣意的な解除権の行使をおさえるために、今までに種々の理論を用いて解除の成立を否定してきました。最近では、無断譲渡が地主に対する背信行為とみられる場合にのみ解除が可能だと解され るにいたっています。したがって、たとえ無断譲渡がなされても、それが地主に対する背信行為とならなければ、借地権の譲渡は地主に対しても有効となるわけです。
本問の場合に、無断譲渡をしたらどうなるでしょうか。地主の解除権が否定されて、譲渡は有効となるでしょうか。難しい問題ですが、どうも危ないように思われます。更地についての従来の判例をみても解除を認めるのが大部分で、否定したのはわずかです。しかも解除が否定されたケースのなかには、借地権の譲渡または転貸のときには更地であったとはいうものの、現在では建物がその上に建てられており、もし解除が認められるならば、この建物は収去を奈義なくされるという事案のものが多いようです。したがって、このことから、判例によれば純粋の更地については解除を肯定する傾向が強い、という推定がなりたちうるように思います。借地上に建物がある場合には、土地使用者が変わっても土地使用の点ではほとんど影響のないのが普通でしょうから、地主の解除権は否定される可能性が争いということができますが、更地の場合は、譲受人によって地主の予測できないような利用形態がとられるおそれのあることを思えば、地主の解除を肯定しがちな判例の煩向もむりからぬものと思われます。
しかし、本問の場合も有利な事情がないわけではありません。それは、地主がすでに権利金5000万円を受け取っているということです。もちろん、この場合の権利金の性質はなにか、またこの金額が土地の価格の何割ぐらいに相当するか、によって左右されますのでいちがいにはいえませんが、場合によっては借地権譲渡の承諾があったものと解される可能性があります。
いずれにせよ、無断譲渡した場合に、地主の解除が肯定されるか、否定されるかは訴訟を提起してみなければわからないことです。ですから、この場合は、このような危険を避けて、地主の承諾をとりつけるように努力すべきではないでしょうか。
取引界においては、地主が借地権の譲渡を承諾する際に、名義書換料あるいは承諾料の名目で一定の金銭を請求するという慣行があるようです。したがって、これを支払えば容易に承諾がえられるものと思われます。また承諾は必ずしも明示の意思表示であることを要しませんから、名義書換料の名目で一定の金銭を支払い、地主がこれを受け取った場合には、通常、承諾したものと解されることになります。

土地
借地上建物の処分/ 建物のない借地権の処分/ 急を要する借地権譲渡/ 借地権を近親者に譲渡する可否/ 借地権譲受人の地代支払能力/ 借地権の無断譲渡/ 譲渡担保と借地権譲渡/ 権利金と借地権処分の自由/ 残存借地期間の短い場合/ 借地条件の変更/ 建築請負人と借地権譲渡/ 借地の一部転貸と土地明渡請求/ 転借権の譲渡/ 転貸による借地人中間利得/ 転貸の承諾/ 転貸借の終了/ 賃借人の地代滞納と転借人/ 原賃貸借契約更新拒絶の正当事由/ 原賃貸借の期間満了と転借権/ 借地権の相続/ 借地人の内縁の妻と借地権/ 借地権の相続と遺産分割/ 地主の死亡と共同相続/ 借地関係継続中の権利義務/ 土地利用権の態様/ 借地上建物の賃貸と敷地/ 借地上建物の用法/ 借地上建物の種類の特約/ 借地建物条件の変更/ 借地上建物の無断改築/ 増改築禁止特約と増改築/ 土地用法の制限の効力/ 借地人の隣地通行/ 借地の不法占拠/ 借地権の取得時効/ 権利のない土地の利用/ 借地権消滅後でも借地人が立ち退かない/ 駐車場の利用権/ 屋上の賃借と借地法/ 区分地上権と借地人/ 借地の期間/ 建物の堅固、被堅固/ 短すぎる約定借地期間/ 建物の滅失と借地権/ 建物の朽廃と大修繕/ 建物の滅失と再築/ 借地契約の更新と保証人/ 地主が使うまで貸すという契約/ 賃借権での調停による明渡期間/ 短期賃貸借の更新/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー