収用裁決に不服のときの救済方法

 A氏は、その市では、一、二を争う大地主です。街を東西に貫通する大道路ができ、それが何十本とある線路の上を立体交差するため陸橋ができ、A氏の屋敷はその降りロに当たるため、家屋敷一五〇〇平米が収用されました。しかし、敷地の価格は、だれが見ても安いので、なんとか救済の道はないのかと考えています。方法はないものでしょうか。

スポンサーリンク

 収用委員会は、七名の委員で構成され、その選出は、都道府県の議会の同意を得て、知事が任命することになっています。同条の規定によると、委員は「法律、経済又は行政に関して、すぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し、公正な判断をすることができる者のうちから」詮術することになっていますが、いくら委員でも、具体的な個々の収用物件が、いくらが妥当かということまで、わかる道理はありません。
 したがって、個々の物件の鑑定評価には、それぞれ不動産鑑定士その他の専門家が任命されるわけです。その鑑定方法には、それぞれ基準があるわけですが、その土地にでも住んでいれば格別、またかりにその土地に住んでいたからといって個々の物件の鑑定評価が公正妥当だという保障はなにもないのだから、それを基礎とする裁決の補償も必ずしも妥当なものばかりとはいい難いのです。
 ところで、収用委員会の裁決に対する救済には、二つの方法があります。一つは、国土交通大臣に対する審査請求である。これは収用法の一二九条の規定するところで行政不服審査法に基づいて申し立てる方法です。これには、不服申立期間に制限があって「裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から起算して、三〇日以内」にしなければなりません。
 もう一つの救済方法は、裁決のうち、補償に対する部分で、こちらは、「裁決書の正本の送達を受けた日から、三月以内に」その被収用地を管轄する地方裁判所に訴えなければならないことになっています。本来、この種の事案は行政訴訟の性質を有するので、新憲法施行以前は、行政裁判所という独立の官庁が審理していたのですが、戦後は、裁判所は一系統に統一されたので、普通の地方裁判所の民事部が、これを管轄しているが、一般の民事事件と区別するために、これを行政訴訟という部門で統一しています。
 したがって、一審の判決に不服があれば、それに対して控訴することができ、控訴の判決に対して不服であれば、最高裁に、上告することができるのです。起業者が、地方公共団体、しかも市町村あたりの下級団体になると、用地担当者が収用法などを知らないものだから、収用法にかけられると、一審にして最終審などといって脅かしているのにときおり出会いますが、まったく誤解です。
 しかし、裁判所に対して、不服申立てをすることができるといったところで、裁判には相違ないのだから、不当だという理由を、証拠で立証しなければならないのです。だから専門家の手をわずらわさなければ、素人には無理です。

土地
不動産の権利など/ 住宅ローンの種類にはどのようなものがあるか/ 住宅ローンの返済ができないときはどうするか/ 住宅ローンの内容が広告と違うときは/ 建売住宅の代金三割を払ったのに登記に応じない/ 売買の支払後に二重売買されたときの処置/ 代理人が勝手に売ったような場合には/ 無権利者から買い受けたときはどうするか/ 一度定めた値段は変えられないか/ 誇大広告で損害を受けたときの賠償請求は/ 頼んだ仲介業者を抜きにしてした取引は/ 引渡前に建物が焼失したときは/ 移転登記前に売主が死亡したときは/ 移転の本登記前に仮登記があるときは/ 売主が登記を拒絶するときの処置は/ 借地権の存続期間は何年まで有効か/ 家屋買取の請求をされたときは/ 借地権の譲渡を地主が承諾しないとき/ 借地上の建物の増改築は無断でできるか/ 借地契約の法定更新で更新料の支払は/ 家が焼けると借地権は消滅するか/ 地上権と賃借権の違い/ 間貸しにも借家法が適用されるか/ 家主の交代で新契約をしなければならないか/ 値上げに対抗する供託家賃の額はいくらがよいか/ 即決和解による借家契約の更新は許されるか/ 賃料不払いでも契約解除にならないとき/ 訴訟中の家屋の転貸を禁止するには/ アパートの更新料を要求されたが/ 借家権や居住権は相続で引き継がれるか/ 立ち退くときには必ず立退料が貰えるか/ 近隣や居住者に迷惑をかけた賃借人はどうなるか/ ビル賃借保証金の返還債務者は誰か/ 境界に無断で打たれた杭を勝手に抜くと/ 隣家から公図と境界が違うといわれたとき/ 毎日通勤する道を柵でふさがれたら/ 境界に作った塀の代金は誰が負担するか/ 隣りの庭から雨水が流れこんだときは/ 不動産を抵当にとるときの注意/ 家屋や敷地の抵当権はどこまで及ぶか/ 担保にとった土地にある木を切られた時は/ 権利証を紛失したときの担保差入は/ 代物弁済の仮登記をして金を借りると/ 借地権の補償価格はどのくらいか/ 借家権の補償はしてもらえないか/ 補償金に代え替地を要求できないか/ 収用の際の移転料はいくらもらえるか/ 残地の価値が減少した場合の補償請求/ 得意先が減った場合の営業補償/ 景観が悪くなった迷惑料は/ 裁決されても立退かないとどうなるか/ 収用裁決に不服のときの救済方法/ 区画整理中の土地売買と登記請求は/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー