裁決されても立退かないとどうなるか

 Zさんのお婆さんは、環状○号線が設定される場所に住んでいたので、その敷地を収用されることになり、収用委員会から裁決が下りました。それでも、お婆さんは行く所がないからといって、頑張っていたので、いよいよ代執行をすると通告された。ところが、代執行の意味がわからないので、こんどは公団住宅に入れてくれと訴えてきました。

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 収用裁決というのは、公共事業に必要な土地を入手するため、起業者(公共事業を計画し、遂行する立場のもの)が、土地所有者あるいは借地権者などと、その土地の譲渡しについて交渉しても、借地権者が承諾しない場合、収用委員会が、それを強制収奪してよろしいという判断を下すことです。
 もちろん、それは国家の統治権の作用として行なうことであるから、所有権者、借地権者の意思に反したとしても、それは有効であり、合法的なのです。
 そして裁決には、明渡しの期日が必ず特定されており、それは大体において、裁決の日から二週間ないし二〇日問ぐらいがおかれています。したがって、裁決された収用事件が、何年間も放任されるということは普通では考えられませんが、それは地主の頑張りよりは、環状線工事が長引き、それにつれて、一部の工事の施工が遅れ、あまり強硬に立退きを強行しなかったものと考えられます。
 しかし、裁決が下って、起業者が補償金を支払えば(彼収用者が受領しなかった場合は、供託して支払ったことにする)、それで被収用地は起業者の物となるから、本人の意思を無視しても、立退きを強行することができることになります。
 ただし、その追立て、物件の取払いなどは、一般の民事事件では、裁判所の判決をもらって、執行するわけですが、収用事件では、そのような手続きを踏むことなく、行政代執行という方法で、知事に委任して、知事の名で実行します。その細かい規定については行政代執行法という法律におさめられています。
 それによると、代執行する前に、相当の猶予期限を定め、その期限内に履行しなければ代執行する旨を文書で通告し、それでも義務者が履行しない場合は、代執行令書で、執行する日時、責任者、費用の見積額を義務者に通告して、実行することになっています。そして費用は、本人が任意に支払わないときは、国税滞納処分に基づいて、徴収することになっています。
 現実の問題としては、代執行までもっていっては、結果的にみて、被収用者にとって大変損なことです。物件は目茶苦茶にされる。費用は余計にとられる。だから、反抗する気分はわかるのですがが、意味のないことです。
 公団住宅に入居させろと訴えたということですが、道路敷地にとった収用事件に、公団 はなんの責任もないから、訴訟しても無意味です。もし起業者がそんなことを教えたとしたら、責任転嫁の方便としていったに相違ありません。

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