景観が悪くなった迷惑料は

 橋のたもとで、料亭を開いていたところ、その前で、新設の産業道路が、旧来からあった県道と立体交差することになり、料亭は陸橋の三メートル下になってしまいました。それも橋脚になる立体交差でなく土盛りした道路となるので、迂回してこなければならないことで不便となり、また風景も悪くなり、客足がなくなりました。起業者に補償請求ができるでしょうか。

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 収用補償というのは、あくまでも、収用された土地その他の物件に対する補償なのです。だから、原則として、収用されない土地、建物に、損失補償のあるわけはありません。少数残存者補償とか、残地補償とかは、収用法に特別の規定があるから、認められるというわけです。
 しかし、少数残存者補償、残地補償といったものは、収用はされませんが、事実上、公共事業という合法的な企画から発生した損害なのである。そうしてみれば、他にも公共事業の実行から生じた損害があれば、これと同じ精神で損害を補償してもいいわけです。
 かつて、新幹線をつくるときに、滋賀 県内で、新幹線が近江鉄道と平行して走る個所がでてきました。そこで、近江鉄道側は、新幹線側の窓から、風景が見られなくなるので、迷惑だという抗議をして、三六年に当時の国鉄から一億円の迷惑料という補償金をとったということで、国会で問題になったことがあります。
 また岡山県の湯原ダムでは、部落が水没し、湖ができたため、学校、郵便局、農協、診療所、駐在所がぜんぶ移転し、しかも洪水のため大きく迂回しなければならなくなり、従来一キロ歩けばすんだものが、六キロから八キロの遠方になってしまったということで、中国電力は、深谷という集落に二六〇万円、黒抗集落に一〇〇万円の迷惑料を支払いました。
 他の収用事吽でも、S県で、国鉄の線路を越えて、反対側に温室を移さなければならないことになったので、線路を踏み越えて管理に見回る不便料として、一年一〇万円宛、六年間に六〇万円を補償されたことがあります。何十年も前のことであるから、今であれば相当の貨幣価値となっているはずです。
 ところが、昭和三七年六月二九日閣議 了解の形式でだされた「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」なる訓令によると「精神的損失に関する補償、協力奨励金、その他これらに類する不明確な名目による補償などの措置は、行なわれないものとする」と規定しています。
 それでは、一般民法上の不法行為に基づく損害賠償で請求できるかというと、公共事業を遂行すること、土地収用法を行使することは合法的であっても、不法行為ではありません。したがって、不法行為の要求する「故意又ハ過失」の認識がないからこれも成立しない。しかし、本問のように、事実上損害の生ずることも疑いのない現実です。そうとすれば、無過失賠償主義を貫く賠償責任の規定を整備するか、収用法上に、少数残存者補償と同じ性質の規定を設けるべきです。

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