残地の価値が減少した場合の補償請求

 一七〇坪ほどの社有地に、工場をたてて操業していたのですが、このほど首都高速道路公団の高速道路の延長で、ちょうど半分ほどの敷地が収用されることになり、細長く約半分ほど残ることになっりました。しかも道路は七メートルほど上を走るので、崖下の窪地になりますが、公団は全然残地補償をしないといいます。不当ではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。





 収用補償というのは、土地等を収用されたためにこうむる損失を補償するのがたてまえであるから、収用されない部分の残地に対して補償するのは、理論的にはおかしい話なのです。
 ところが、土地の経済的価値というか、利用価値というか、その効用からいうと、土地の一部が収用されて、一部が残地として残ったという場合は、その残地だけでは、前に利用しただけの効用が発揮できない場合があります。たとえば、九九〇平方メートルの敷地に、病院を設置して経営していたところ、道路敷にとられて二三〇平方メートルしか残らない場合は、もう病院の敷地としては無理だと いうことになります。
 この場合、その場所が、市街地の一部で、二三〇平方メートルでも、土地の売買価格に影響のない場合もあるでしょうが、多くは従来の市場価格より減少をきたすのが通例です。
 このような場合、残地に生じた損失を補償するのが、いわゆる残地補償ですが、これは常に残地に発生するというのでないし、また理論上当然補償するという本来の収用補償とも異なるので、これには土地収用法七四条〜七六条で特別に規定を設けたのです。
 そして、その基本法案である七四条に「同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因って、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない」と規定してあります。だから、残地補償の成立するには、第一に、それが「一団の土地」であることが必要で、第二に、一団の土地が「同一所有者に属する」ことが必要です。
 だから、その一団の土地は、まとまって同一目的に供せられていたことが必要であるから、一部は豚小屋に、一部は貸地として利用されていた場合は、同一地番であっても、問題にはなりません。
 しかし、一団の土地であれば、同一地番でなければならないことはありません。
 しかし、現実の補償では、三七〇平米のところ、一七〇平米だけ残地として、収用対象外になったといった場合は、ほとんど補償の対象外となっています。殊に、道路公団のような場合は、一〇坪以上の残地は、いっさい残地補償をしないといった基準をたてて実行している場合が多いので、理論もしくは法規の精神とカケ離れている場合が多い。したがって、本問の場合も、工場敷地としては、従来の利用価値からみると値打がだいぶ低下することと思われますが、補償されない場合が多いと思われます。その当否は、裁判で争うほかありません。

土地
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