権利証を紛失したときの担保差入は

 A氏は、このたび事業をするについて、その持ち家と地所を担保に入れて、金を借りようとしました。
 そこで、土地家屋の権利証をもって貸し主のところへ出かけようとしたところ、しまっておいたはずの権利証がどうしても見つかりません。
 よく考えてみたところ、昨年度書類を整理した際、誤って焼却してしまったものらしい。このような場合には、土地や家の処分はできないのでしょうか。

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 権利証は、正しくは登記済証といって、不動産について所有権を取得したときに、登記所に提出した書類の一部分が登記済みの証明印を押されて戻ってきたもので、もともと一種の証明書に過ぎないものです。
 登記手続上、権利証をもっている者が一応特記名義人であるとされる効力を持つものであるにとどまります。
 わが国では明治のはじめの「地券」あるいは「沽券」の沿革から、むしろ一種の財産権を表彰する証券としてこれを大へん大切にする傾向があります。
 もちろん、大切なものであることには違いありませんが、これを紛失してしまっても、他の方法によって、A氏が、登記簿上の所有権者であることが証明できさえすればよいのであるから、そう心配することはありません。
 そこで、その土地を他人に売ったり、または担保に入れたりする必要が生じたときには、つぎに述べるような保証書による登記申請をすれば、権利証がなくても登記はできます。A氏も絶望することはないのです。
 ただ、権利証がある場合にくらべて、その手続きが面倒になりますが、これはあるべきものをなくしたむくいとしていたしかたはありません。
 この保証書の制度は不動産登記法の四四条以下に規定があります。
 そこでこの手続きをいま少し詳細に説明すると、
 登記所で登記を受けた成年(二〇歳以上の者)二人以上が、登記義務者に、たとえば売主の人違いでないことを保証した書面をつくる。
 移転登記申請書に、この保証書をつけて登記所に申請する。
 登記申請書を受理した登記官は、その申請のあった者の通知を郵便で登記義前者にする。
 通知の発送後三週間内に登記義務者が登記申請の間違いでないことを登記官に申し出れば、その申出のときにはじめて登記官がその登記の申請書を受けとったことになります。
 権利証の紛失にたいして、このように煩雑とも思われる手続きを必要とするのは、とりもなおさず不動産犯罪を防止する趣旨です。
 以前は保証書による登記が簡単であったので土地家屋の真の所有者の知らぬ間にこれを売払い逃走がきめこむといった不動産のパクリ屋、地面師などがはびこったことに対処して、このように改められたのです。

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