家屋や敷地の抵当権はどこまで及ぶか

 Aは家具商です。彼の商売は一時繁昌したが、経済の不況に災いされて、ど多分にもれず、最近はすこぶる振るわない。
 資金繰りに窮した彼は、やむを得ず、自分の住宅一棟とその敷地一筆にそれぞれ抵当権を設定して、銀行から金一〇〇〇万円を借り入れました。そして、銀行のためそれぞれ抵当権設定の登記をしました。
 ところが、その後も商売は好転せず、弁済期日がきたけれど弁済できなかった。
 そこで、ついに銀行から、抵当物件の競売申立てを受ける仕儀となったのです。
 ところが、敷地の周囲には立派な石垣がめぐらしてあるし、石燈籠や植込みなどもあります。金銭に見積れば相当なものです。また、住宅内にも高価な家具や畳、襖などが少なくありません。
 そこで問題はこれらの物件はどうなるのか、住宅や敷地と共に競売されてしまうのかどうか、ということでした。

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 民法三七〇条を見ると、抵当権の効力は、抵当権の目的物たる不動産(土地または建物)に附加してこれと一体をなす物に及ぶとあるから、いわゆる「附加して一体をなす物」は当然敷地や住宅と共に競売されることになります。しかし「附加して一体をなす物」とは、いったいどのような物かというと、
 民法二四二条には「不動産に従として附合した物」という規定があります。この「従として附合した物」というのが、ここにいわゆる附加して一体をなす物です。
 Aの敷地の周囲にめぐらしてある石垣や植込みなどは、敷地に「従として附合した物」です。したがってこれは当然敷地とともに競売されるわけです。住宅の雨戸や造作も、住宅に「従として附合した物」だから、これも同じ取扱いです。
 しかし、敷地内の石燈籠や住宅内の畳、襖、家具などは、従として附合した物ではありません。それは民法八七条の「従物」です。したがって、前の場合と同じようにはいきません。しかし、そうかといって、民法八七条二項は、「従物は主物の処分にしたがう」と定めているから、全然無関係であるというわけにもいきません。
 そこで判例があります。それによると、これらの物件が抵当権設定当時に、すでに敷地内や住宅内にあった場合は、抵当権の効力はこれらの物件にも及び、したがって当然のことながら、敷地や住宅と共に競売されます。
 しかし、これらの物件が抵当権設定後に、あらたに搬入されたり設備されたりした場合には、抵当権の効力はこれには及ばず、したがって、競売されることはありません。
 Aの場合は、これらの物件はいずれも抵当権設定当時にすでに敷地内や住宅内にあったのだから、当然敷地や住宅と共に競売されるべき運命にあるのです。
 では「附加して一体をなす物」を抵当権の効力から除外するということはできないでしょうか。
 それには最初銀行と抵当権設定契約を締結するときに、これらの物件を抵当権の効力から除外する旨の特約を銀行としておけばよい。しかし、この特約は登記が必要です。
 登記しておかないと、たとえば、いざ競売という場合に何の証拠もないわけであり、口約束やなんかではこの特約を不動産の買受人(競落人)に対抗することができません。

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