境界に作った塀の代金は誰が負担するか

 Aさんの家と隣家との境界は三メートルほどですが、その間には境界を標示するような塀も垣もありません。しかし、別に支障もないので、そのままにしておいたところ、隣家で犬を飼い始め、その犬が常にAさんの家の庭に入ってくるのです。
 Aさんも犬は嫌いではないので黙っていましたが、そのうち五歳になる娘に咬みついたりして悪さをするので、隣家との間に犬の出入りができないような板塀をつくる決心をしました。
 そして、その旨一応隣家に伝えましたが隣家からは何の応答もありません。止むなく隣家の承諾を得ないで高さ三メートルの板塀を作りました。それからは隣家の犬もこないようになりホッとしました。
 ところが、その後ある友人から聞いたところによれば、その塀の築造に要した費用は、隣家の承諾の有無にかかわらず隣家がその半分を負担する義務があるとのことです。それでAさんはその塀の築造資金三万円の半額金一万五〇〇〇円を支払うよう、隣家へ請求しましたが、隣家から拒絶されました。

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 境界の塀は、隣家の承諾の有無にかかわらず築造することができます。ただし、隣家の承諾のない場合は、原則として高さニメートル以内の板塀または竹垣とすること。この場合、築造費用および維持保存の費用は、同家で半分ずつ負担することという民法の規定があります。
 高さニメートルをこえて板塀または竹垣を築造することも、板塀や竹垣でなくもっと良質のもの、たとえば鉄筋コンクリートなどで、高さニメートル以上の塀を作ることも他の法令に違背しないかぎり、建築する者の自由ですが、ただこれにより増額しただけの費用は建築する者が負担しなければならないとされています。
 そこでAさんは三万円の三分の一、すなわち、一万円を差し引いた残金二万円の二分の一、金一万円を改めて隣家に請求できます。
 もし隣家がこれを払わなければ、訴訟することができ、またこの訴訟には必ず勝つことができます。
 ただ、この場合注意すべきことは、何が何でも境界に造った塀の代金は、相隣者の双方が半分ずつ負担するときまっているわけではないということです。現に、民法も、その土地土地によってちがった慣習があればそれにしたがうと規定しているし、お互いの話合いで、片方のどちらかが全額を負担するということがきまっていたとしたら、もちろん、その話合いによって負担者をきめねばなりません。

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