近隣や居住者に迷惑をかけた賃借人はどうなるか

 Aは自分の所有するアパートの一室をBに賃貸するにあたって、庭を近隣に迷惑がかからぬように使用すること、アパートの出入口部分を他の居住者に迷惑がかからぬように使用すること、という特約をつけました。
 ところが、Bは 入口に木片、植木鉢、火鉢などをおき、他の居住者の通行を妨害したので、Aは東京北簡易裁判所に妨害物撤去請求の訴えを起こしましたが、Bはこの請求にも応じませんでした。
 その後もBは、消防署から火災予防の観点から妨害物の撤去を要求されましたが、これに応じないばかりか、木材、脚立、ベニヤ板、スレートなどを積み重ねて入口の通行をさらに困難にしました。
 さらに、Bは公道に面した出入口に「Aは不良不動産屋と結託して金とコネで利害を背景にひくつな策動、強迫をくりかえして、理不尽な言いがかりをねつ造して正論を屈伏しようとしているものであり。」とAの名誉をいちじるしくそこなう文書を掲示しました。
 その後も、アパートの他の居住者に対して嫌がらせをし、とくにBとおなじ棟に住むCに対し、その出入口を植木や大きなポリバケツをもって閉鎖するに至りました。
 たまりかねたAは、Bのこのような行為は、賃貸借契約の特約に違反するものであ り、賃貸借契約における信頼関係を破壊するものであるから、賃貸借契約を解除すると主張して、明渡しおよび賃料相当分の損害金の支払いを求めて訴えを起こしました。

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 近隣や他の居住者に迷惑のかからぬようにアパートの庭や出入口を使用するという特約がある場合、これに違反すると、いわゆる「用法違反」となり、賃借人は賃貸借契約上の債務不履行の責任を追及され、賃貸借契約を解除される結果となります。それでは、用法違反があれば、ただちに債務不履行となり、契約を解除されるのか、というと、短絡的にそうだとはかならずしも断定できません。
 土地や建物の賃貸借契約のような継続的契約の根底には、当事者間の「信頼関係」が横だわっています。たとえ、用法違反があっても、その程度が軽微で信頼関係を破壊するまでに至っていないときは、賃貸人は契約を解除できない。もし解除できるとすれば、賃借人の地位はきわめて不安定なものになってしまうからです。しかし、その用法違反の程度がいちじるしく、信頼関係を破壊していると認められる場合にはじめて解除がゆるされるのです。そこで、信頼関係を破壊しているかどうかの判断は、ケースバイケースで具体的事情にそくして行なうほかはありません。
 この例では、「BはAおよび他のアパートの居住者の再三にわたる改善の要求をいっさい拒否し、長期間にわたってこれを継続しているので、このようなBの行為は、その用法に反し、賃貸借契約における信頼関係を破壊するもので、Aが賃貸借契約を解除するにたりる債務不履行ということができる」と裁判所は判示して、明渡しおよび損害金請求を認めました。

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