借家権や居住権は相続で引き継がれるか

 内縁の夫婦のA男君とC子さんは、C氏からその持ち家を借り数年前から住んでいたところ、夫のA男君は事故で急死してしまい、B子さんはC氏から新たに権利金の支払いを要求され、支払うことができなければ明け渡せといわれています。

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 A男君の死亡によって、A男君のもっていた一切の権利は原則として相続人に相続されるわけです。借家権も相続されるのであり相続人がいれば、A男君と同居していたといないとを問わず、A男君の相続人が借家権を相続するのです。
 妻も相続人の一人であるから、他の相続人とともに借家権を相続したこととなり、あとで相続財産分割の協議のときに妻の単独の名義にすればよい。この場合、もちろん権利金を支払う義務はなく、従来どおりの使用を継続することができます。ところで従来、A男君の同居家族との間の関係は、この協議がととのえばともかく、ととのわぬときは家庭裁判所にきめてもらうこととなります。
 その結果、従来、同居者でなかった相続人が同居するようになるかも知れません。この同居については家主の承諾は不要であるという見解があります。
 B子さんのように婚姻届を出していない内縁の妻は相続権がありませんが、もしA男君とB子さんの間に子、D男がいれば、D男の相続によって、B子さんもその借家を引き続いて使用することができます。
 他に全く相続人がいない場合、内縁の妻であるB子さんが借家権を相続することはできません。相続はあくまで法律上の親子とか夫婦とかの関係がなくてはできないからです。
 しかし内縁の妻に対して気の毒であるというので、従来判例は借家権の承継を認めてきており、借家法七条の二でも、同居の内縁の妻または夫、同居の事実上の養親または養子に対して、それぞれ借家権の承継を認めることにしてあります。
 ただし、これは他に相続人がない場合であることに注意願いたい。B子さんの場合も、夫のA男さんに相続人がなければ、C氏の貸家に引き続き居住していることができます。
 従来の判例の大多数も「実質上賃借人と共同生活をしていた者が、従来の使用形態を特に変更することなく使用を継続するものであるときは、賃借人たる夫が死亡しても、残存居住権者たる内縁の妻はその居住権を失うものではない」としています。
 したがって今度はB子さん自身が新しい契約の名義人として、C氏と家屋の賃貸借契約を結べばよい。
 この場合には、家主は権利金を要求することはできず、まして、明渡しなど請求できません。
 別のページに述べたような諸場合でなければ、解約はできないことは、一般の場合と同様だからです。

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