借地契約の法定更新で更新料の支払は

 Aさんはその所有する宅地をBさんに期間二〇年の約束で賃貸し、Bさんはそのうえに居宅を建てて住んでいました。地主のAさんは二〇年の期間満了に先立つ前年に、Bさんの妻に対し、もし契約の更新をのぞむなら、更地価格(三・三平方メートルあたり四〇万円)の五パーセントから一〇パーセント(二万から四万円)の更新料を支払うように申し入れました。
 ところが、Bさんは三・三平方メートルあたり五〇〇〇円で更新を認めてほしいと回答したため話合いがこじれ、さらに、その後、Bさんは弁護士から更新料を支払う必要はないと教えられたので、その支払いを拒絶してきました。

スポンサーリンク

 そこで林さんは秋山さんに対し、その背信行為を理由として賃貸借契約解除の意思表示をしたとして、主位的に建物収去土地明渡しを求めるとともに、予備的請求として、借地契約の期間満了の際、賃貸人の請求があれば、当然に借地人の更新料支払義務が生ずる旨の「商慣習」ないし「事実たる慣習」が存在すると主張して、本件宅地の更地価格の八パーセントに相当する更新料の支払いを請求する訴えを起こしました。一審、二審とも敗訴したので最高裁に上告しました。
 借地契約の期間満了にあたっては、更新料がしばしば支払われており、東京二三区内では、更地価格の約五八パーセントがその相場であるといわれています。
 それでは、更新料とは、いったい、どんな性格をもっているのでしょうか。第一に地主からみれば、安すぎる賃料の補充の意味があり、第二に借地人からみれば、訴訟に持ちこむことなく合意で更新する利益の対価という意味があります。
 合意のうえで更新料が支払われる場合はよいのですが、もし、借地人が支払わない場合、地主に更新料を支払えという請求権が法律上認められるものでしょうか。
 借地法その他の法律には、地主の請求権を規定した条文は見あたりません。
 しかし、東京都二三区内で借地人が更新料を支払った理由は、支払うことが慣行だと思ったから払った、地主と争うのはいやだから払った、近所の人が支払っているので、近所付合いと思って支払った、などが主要なものです。
 つまり、相当数の東京都民が、更新料の支払いを一つの慣習として認めていることは、いなめない事実のような気がします。法令上に根拠がなくても、「商慣習」または「事実たる慣習」があれば、地主の請求権は認められることになります。これまでの地裁レベルの判例には、法定更新に際して、地主の請求があれば、当然に更新料支払いの義務が借地人に発生することを認めたものと認めないものとに分れていました。しかし最高裁は、下級審の消極判例を是認し「宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」と判示しています。

土地
不動産の権利など/ 住宅ローンの種類にはどのようなものがあるか/ 住宅ローンの返済ができないときはどうするか/ 住宅ローンの内容が広告と違うときは/ 建売住宅の代金三割を払ったのに登記に応じない/ 売買の支払後に二重売買されたときの処置/ 代理人が勝手に売ったような場合には/ 無権利者から買い受けたときはどうするか/ 一度定めた値段は変えられないか/ 誇大広告で損害を受けたときの賠償請求は/ 頼んだ仲介業者を抜きにしてした取引は/ 引渡前に建物が焼失したときは/ 移転登記前に売主が死亡したときは/ 移転の本登記前に仮登記があるときは/ 売主が登記を拒絶するときの処置は/ 借地権の存続期間は何年まで有効か/ 家屋買取の請求をされたときは/ 借地権の譲渡を地主が承諾しないとき/ 借地上の建物の増改築は無断でできるか/ 借地契約の法定更新で更新料の支払は/ 家が焼けると借地権は消滅するか/ 地上権と賃借権の違い/ 間貸しにも借家法が適用されるか/ 家主の交代で新契約をしなければならないか/ 値上げに対抗する供託家賃の額はいくらがよいか/ 即決和解による借家契約の更新は許されるか/ 賃料不払いでも契約解除にならないとき/ 訴訟中の家屋の転貸を禁止するには/ アパートの更新料を要求されたが/ 借家権や居住権は相続で引き継がれるか/ 立ち退くときには必ず立退料が貰えるか/ 近隣や居住者に迷惑をかけた賃借人はどうなるか/ ビル賃借保証金の返還債務者は誰か/ 境界に無断で打たれた杭を勝手に抜くと/ 隣家から公図と境界が違うといわれたとき/ 毎日通勤する道を柵でふさがれたら/ 境界に作った塀の代金は誰が負担するか/ 隣りの庭から雨水が流れこんだときは/ 不動産を抵当にとるときの注意/ 家屋や敷地の抵当権はどこまで及ぶか/ 担保にとった土地にある木を切られた時は/ 権利証を紛失したときの担保差入は/ 代物弁済の仮登記をして金を借りると/ 借地権の補償価格はどのくらいか/ 借家権の補償はしてもらえないか/ 補償金に代え替地を要求できないか/ 収用の際の移転料はいくらもらえるか/ 残地の価値が減少した場合の補償請求/ 得意先が減った場合の営業補償/ 景観が悪くなった迷惑料は/ 裁決されても立退かないとどうなるか/ 収用裁決に不服のときの救済方法/ 区画整理中の土地売買と登記請求は/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー