借地上の建物の増改築は無断でできるか

 Aさんは、Bさんの土地を借りて、そこに住居を建てて住んでいます。
 ところがAさんの家でも、息子が大学に行くようになったので、二部屋ばかり増築することになりまし。そこでAさんは、Bさんにまず挨拶をと思い、菓子折を手土産にBさん宅を訪れ、増築の話をしたところ、Bさんは、古い契約書をだしてきて、契約では、借地上の建物の増改築は地主の承諾がなければできないことになっている。ついては、承諾料として、五〇万円を払ってほしいと言いだした。どうすればよいのでしょうか。

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 土地の賃貸借契約で、Aさんのように、いわゆる無断増改築禁止の特約がないときには、賃借人が、借地上の建物を増改築したり、新築したりすることも、それが用法変更(木造建物を取り壊して鉄筋コンクリート造りのビルを建てるなど建物の種類、構造を変更すること)にならないかぎり、法律上は賃借人が自由にできます。
 したがって、いかに地主といえども、賃借人の行なう増改築、新築工事を強制的に阻止することはできませんが、この無断増改築禁止の特約のあるときは問題です。
 この特約は、借地法に反し無効なものだという考えもありますが、現在の裁判例では、有効とするものが大多数です。
 そこでAさんのように、二部屋ばかり増築したいが、地主であるBさんが、特約をたてにしてどうしても承知してくれないとか、これ幸いと不当に高額な承諾料を要求してきたといった例が、かなりみられるようになり、このための紛争が裁判所にもちこまれ、前述のように、この特約が有効なのか無効なのか争われることも少なくありませんでした。
 そこで借地法八条の二では、増改築禁止の特約がある場合、土地の通常の利用上相当とすべき増改築について、賃貸人と賃借人間で協議がまとまらないときは、裁判所は、借地権者の申立てによって、その増改築についての土地所有者または賃貸人の承諾に代わる許可を与えることができるとされています。
 つまりその増改築(新築を含む)が土地の通常の利用上相当なものであれば、地主が何と文句をいおうとも、借地権者は、地主の承諾に代わる裁判所の許可を得ることで増改築をすることができるのです。
 もっとも裁判所が、この許可を与えるにあたっては、当事者間の利益の衡平を図るために必要があるときは、借地人に一定の金銭の支払いを命じたり、地代を値上げするなど借地条件を変更したりなど相当の処分をすることができることになっています。
 つまり従来の増改築に当たっての承諾料、ハンコ代などの適正額を裁判所がきめることになったのです。従来の裁判例でみると、この金銭の支払額は、借地権価格の一・五パーセントから一・八パーセント程度で、ケースバイケースできめられています。

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