借地権の譲渡を地主が承諾しないとき

 Aさんの住んでいるのは、Bさんからの借地に建てた自分の家です。ところが、今度Aさんは、会社の命令で九州に転勤することとなりましたが、どうも会社の話では、相当長期間になりそうなので、いっそ今の家を売却し、九州に土地を買おうと思い、今の家を売りにだしました。ちょうど値よく買ってくれる人がみつかったので、Cさんに借地の名義替えをたのんだところ、Bさんは、絶対に名義替えを認めないと言いだした。どうしたらよいのでしょうか。

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 借地権と呼ばれる権利には、地上権と賃借権の二つがあります。
 このうち地上権というのは、法律上物権(物を直接に支配する権利)として構成されているので、これは譲渡するについても、所有者の承諾は必要でなく、地上権者が自由にできることになっていますが、これに反し賃借権は、債権(債権者にある行為を請求する権利)として構成されています。
 したがって、この賃借権を第三者に譲渡するには、どうしても賃貸人(所有者)の承諾が必要で、もしこの承諾を得ないで勝手に譲渡すると、賃貸人は、この無断譲渡を理由に土地賃貸借契約を解除することができます。
 つまり賃借人にとっては、賃借権を譲渡するには、地主の承諾を得ておかないと、いつ賃貸人から契約を解除されるかもわからないし、また、現在の借地権は、そのほとんど全部が賃借権であるといって過言ではありません。
 一方、借地上の建物は、Aさんのものだから、Aさんが自由に譲渡できることはいうまでもありませんが、法律的には、原則として建物を建物として譲渡した場合には、当然に借地権の譲渡も合まれているものと考えられています。
 こんなわけでAさんが、借地上の建物を第三者に譲渡するためには、どうしてもBさんの承諾を得なければならないことになるのです。
 一般には、賃借人が賃貸人に、名義書替料として借地権価格の一〇%程度のお金を払えば、賃貸人もとくに文句をいわずに、この譲渡を承諾してくれるのですが、Bさんのようにどうしても承諾してくれないとか、不当に高額な名義書替料を要求するといった悪徳地主も時として存在します。
 ですが心配することはありません。というのは、借地法九条の二によれば、賃貸人が借地上の建物の譲渡をどうしても承諾してくれないときには、賃借人が、裁判所に、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を申し立てると、裁判所は、これを譲渡しても賃貸人に不利となるおそれがないと認めたときには、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を与えてくれるからです。
 もっともこの場合、裁判所は、当事者間の利益の衡平を図るため必要のあるときは、賃借人にいわゆる名義書替科相当の金銭の支払いを命じたり、地代値上げなど借地条件変更を命ずることもあります。
 従来の裁判例をみると、この金銭の支払額は、借地権価格の四〜一五%で、ケースバイケースできめられています。

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