代理人が勝手に売ったような場合には

 Aさんは未亡人で、料理屋を経営していますが、料理や顧客関係のことは自分が全部取り扱い、店舗の土地家屋などのことは後見役の知人Bさんに全部委せ、印鑑や権利証もBさんに預けていました。
 ところが、最近、Bさんは、Aさんに無断で、店をCさんに売り渡してしまい、代金も使い果たしてどこかへ姿をくらましてしまいました。Bさんからは、「印鑑や権利証を預けていたAさんに委任があったと思うし、当然あなたも承知のはずだ」といわれて困っています。Aさんは、しばしばBさんを代理人として不動産取引きを行ない。今までにも店を抵当に入れたり、その他の不動産を買ったりした。そしてそのことをCさんも知っていました。
 また、今度の取引きに当たってもBさんは、今までと同様、Aさんの委任を受けてやっているのだ、ということをCさんに話し、Aさんの印鑑や権利証を示しました。さて、Cさんの立場はどうなるのでしょうか。

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 このような場合にBさんがAさんの代理人であると思いこむのも無理もないという事情があるときには、Aさんは売主としての責任を負わなければなりません。
 もちろんAさんがBさんに対して、横領、背任などの刑事上の責任を追及するため告訴し、また、Bさんの受けとった代金のほか、こうむったすべての損害賠償など民事の責任を追及できることはもちろんです。
 しかし、このような事情がなく、AさんからBさんに「店を売ってくれ」と頼んだのでなければ、店の所有権はAさんの手に確保されることになります。
 したがって登記の移転請求には応ずる必要なく、また、たとえ移転登記のなされてしまったあとでも、その抹消を請求することができます。
 なお、印鑑証明制度の穴を利用し、Bさんが勝手にAさんの印鑑証明をとり、従来の権利証紛失の場合の手続きを悪用すると、印鑑と権利証を預けておかなくても、移転登記をしてしまう悪人がいたので、昭和三五年四月からこの制度(保証書)がかわり、必ず登記所から問合せがあるから、この点は安全になっています。

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